陰黒のプシュケ
あの時の出来事!
当該夜、ほぼ同時刻…。
”ちょっと…‼ココって…、あの時の場所でしょ…”
”そこで右足と右腕と左腕…、それぞれ一本ずつもぎ取られた死体が3つ発見されたとかって…、冗談でしょ…⁉じゃあ、残りの左足ってことになれば…”
思わず穂里恵は、テレビの前でクッションに投げ出していた左足へと右手を持って行った。
”あの時、群馬の祖先様たちが守ってくれなかったら、今頃私…”
そう思うと、穂里恵の背筋はぶるぶると音を立てて震えるのだった。
***
「穂里恵…。そのニュース、ひょっとして…?確かお前の修学旅行、岡山とか山陰のこの辺りだったよな?」
「お父さん…、この岡山県の沼、修学旅行の自由行動で行ったんだよ!それで…」
「…」
二人は思わず顔を見合わせたまま固まっていた。
穂里恵の父、実樹雄はすでに概ね察していたのだろう…。
今、テレビのニュースで伝えている猟奇的な事件報道が、娘にもたらされた数日前の悪夢と関連があることを…。
いや、”そこ”こそが原因でもあったと…。
***
”あの時…、ううん、あの夜、私は親友のユッコと二人で旅館を抜け出して、高見くんと私のツーショット…、コラージュだったけど、それ持ち出してネットで噂になってたまじないをやったんだった”
”私の愛しいサッカー部の後輩、武見ユタカ…。カレと私は同じ塾で雑談を交わす仲から始まり、次にライン始めて…。そんで、次に好きになっちゃった…。でもカレは、モテモテで、どうしてもコクれなかった。そしたら…”
「…えー?武見くんの写真と私のコラージュプリントをその井戸に…?」
「そう!この”恋ゲット駆け込み寺”ってサイトの記事によれば、今度修学で行く○○鍾乳洞の近くにさ、陰沼ってとこがあるんだよ。で…、そこの近くの井戸だかは、地下何万メートルまでつながっていて、そこから人間の気とコラージュできるパワーが湧いてるんだって~!ねー、二日目の旅館から遠くないみたいだし、ダメ元でやってみよーよ!私も一緒に念じれば、倍のパワーとコラージュできるし~」
「コラージュねえ…」
彼女は、まさにダメ元…、あくまでその一言の範疇で、ユッコの提案に乗ったのだった。
それはあくまでも軽い好奇心から…。
そして修学旅行の宿泊先で、その夜、恋願成就のまじないを実行した。
だが、その結果はやはりダメ元の範疇で終わっていた…。
***
”あれから、カレ、左足に大けが負って入院して…。私もユッコと一緒にお見舞い行ったけど、その時、カノジョらしき明らかに年上の女性が付き添っててて…。ああ、無理だわってなって。ユッコともやっぱ、ダメだったねえってとこで終わっていたんだったわ”
ここまで回想して…。
”えっ…、ちょ…、ちょっと待ってよ!左足…。まさか⁉”
穂里恵の頭にふと浮かんだ不安…。
それは…。
”あの時、井戸の中に放った写真…、カレも写ってるって‼私は先祖様の守護で何とか救われたけど、もしかしたら、高見君が左足を奪われてはいないか…”
彼女はごく短い時間で結論を出した。
この際、自分だけで行動せず、まずは両親に全部話そうと…。
その上で、カレの安否を確かめる…。
自分の心配が杞憂で、カレが無事であることを確かめられれば、当面はそれでいい。
しかし、コトは終わっていない可能性もあるのであれば…、できれば高見君には両親と一緒に”本当のこと”を告げてもらった方がいいのではないか…。
そう…、もはやこんなおぞましい出来事が起きて、テレビが報じているんだし、いっそ最初から全部を…。
そしてこの後、穂里恵の両親は、娘から修学旅行先での”一部始終”を聞かされるのだった…。
”ちょっと…‼ココって…、あの時の場所でしょ…”
”そこで右足と右腕と左腕…、それぞれ一本ずつもぎ取られた死体が3つ発見されたとかって…、冗談でしょ…⁉じゃあ、残りの左足ってことになれば…”
思わず穂里恵は、テレビの前でクッションに投げ出していた左足へと右手を持って行った。
”あの時、群馬の祖先様たちが守ってくれなかったら、今頃私…”
そう思うと、穂里恵の背筋はぶるぶると音を立てて震えるのだった。
***
「穂里恵…。そのニュース、ひょっとして…?確かお前の修学旅行、岡山とか山陰のこの辺りだったよな?」
「お父さん…、この岡山県の沼、修学旅行の自由行動で行ったんだよ!それで…」
「…」
二人は思わず顔を見合わせたまま固まっていた。
穂里恵の父、実樹雄はすでに概ね察していたのだろう…。
今、テレビのニュースで伝えている猟奇的な事件報道が、娘にもたらされた数日前の悪夢と関連があることを…。
いや、”そこ”こそが原因でもあったと…。
***
”あの時…、ううん、あの夜、私は親友のユッコと二人で旅館を抜け出して、高見くんと私のツーショット…、コラージュだったけど、それ持ち出してネットで噂になってたまじないをやったんだった”
”私の愛しいサッカー部の後輩、武見ユタカ…。カレと私は同じ塾で雑談を交わす仲から始まり、次にライン始めて…。そんで、次に好きになっちゃった…。でもカレは、モテモテで、どうしてもコクれなかった。そしたら…”
「…えー?武見くんの写真と私のコラージュプリントをその井戸に…?」
「そう!この”恋ゲット駆け込み寺”ってサイトの記事によれば、今度修学で行く○○鍾乳洞の近くにさ、陰沼ってとこがあるんだよ。で…、そこの近くの井戸だかは、地下何万メートルまでつながっていて、そこから人間の気とコラージュできるパワーが湧いてるんだって~!ねー、二日目の旅館から遠くないみたいだし、ダメ元でやってみよーよ!私も一緒に念じれば、倍のパワーとコラージュできるし~」
「コラージュねえ…」
彼女は、まさにダメ元…、あくまでその一言の範疇で、ユッコの提案に乗ったのだった。
それはあくまでも軽い好奇心から…。
そして修学旅行の宿泊先で、その夜、恋願成就のまじないを実行した。
だが、その結果はやはりダメ元の範疇で終わっていた…。
***
”あれから、カレ、左足に大けが負って入院して…。私もユッコと一緒にお見舞い行ったけど、その時、カノジョらしき明らかに年上の女性が付き添っててて…。ああ、無理だわってなって。ユッコともやっぱ、ダメだったねえってとこで終わっていたんだったわ”
ここまで回想して…。
”えっ…、ちょ…、ちょっと待ってよ!左足…。まさか⁉”
穂里恵の頭にふと浮かんだ不安…。
それは…。
”あの時、井戸の中に放った写真…、カレも写ってるって‼私は先祖様の守護で何とか救われたけど、もしかしたら、高見君が左足を奪われてはいないか…”
彼女はごく短い時間で結論を出した。
この際、自分だけで行動せず、まずは両親に全部話そうと…。
その上で、カレの安否を確かめる…。
自分の心配が杞憂で、カレが無事であることを確かめられれば、当面はそれでいい。
しかし、コトは終わっていない可能性もあるのであれば…、できれば高見君には両親と一緒に”本当のこと”を告げてもらった方がいいのではないか…。
そう…、もはやこんなおぞましい出来事が起きて、テレビが報じているんだし、いっそ最初から全部を…。
そしてこの後、穂里恵の両親は、娘から修学旅行先での”一部始終”を聞かされるのだった…。