愛されてはいけないのに、冷徹社長の溺愛で秘密のベビーごと娶られました
第一章 知らずに逢うのが早すぎて
例年より早い桜の開花宣言で三月半ばでも桜が楽しめる。今日着ているワンピースも落ち着いたピンクベージュを選んだ。春らしさを意識したのはもちろん、少しでも気分を上げようと自分に活を入れるためだ。
洗面所でいつもよりメイクを念入りに施す。そもそもこんなしっかりと化粧する自体、久しぶりかもしれない。髪もすっかり伸びて背中まで届くほどになり編み込んでハーフアップにした。
せめて今日のために美容院くらい行っておくべきだったかな?
とはいえ形式だけのものだ。気を取り直してリビングに向かいベビーゲートの中で遊んでいる息子に声をかける。
「真紘」
名前を呼ぶと、私をめがけてハイハイで一目散にやってきた。心なしかスピードがいつもより早い。そばまできてゲートにつかまり立ちをする彼の脇の下に手を入れ、ひょいっと抱き上げた。
「どう? お母さん綺麗?」
「あーう」
質問には眩しい笑顔が返ってくる。それを見てたまらなくなり、ぎゅっと抱きしめた。こんなにも自分の子どもが愛しいなんて、生む前は不安しかなかったのが逆に申し訳なるくらいだ。
三千グラム弱で生まれた真紘も気づけば体重は三倍になり、この三月で十カ月になる。子どもの成長はあっという間だ。もう一歳が見えてきた。
「愛理」
真紘を抱っこしたまま時計を確認しようとすると、同居している母から声をかけられる。
「あなた、本当にいいの?」
目が合うや否や心配そうな面持ちで尋ねられ、私は笑った。この結婚を決めたときから母のこの台詞を何度聞いただろう。
洗面所でいつもよりメイクを念入りに施す。そもそもこんなしっかりと化粧する自体、久しぶりかもしれない。髪もすっかり伸びて背中まで届くほどになり編み込んでハーフアップにした。
せめて今日のために美容院くらい行っておくべきだったかな?
とはいえ形式だけのものだ。気を取り直してリビングに向かいベビーゲートの中で遊んでいる息子に声をかける。
「真紘」
名前を呼ぶと、私をめがけてハイハイで一目散にやってきた。心なしかスピードがいつもより早い。そばまできてゲートにつかまり立ちをする彼の脇の下に手を入れ、ひょいっと抱き上げた。
「どう? お母さん綺麗?」
「あーう」
質問には眩しい笑顔が返ってくる。それを見てたまらなくなり、ぎゅっと抱きしめた。こんなにも自分の子どもが愛しいなんて、生む前は不安しかなかったのが逆に申し訳なるくらいだ。
三千グラム弱で生まれた真紘も気づけば体重は三倍になり、この三月で十カ月になる。子どもの成長はあっという間だ。もう一歳が見えてきた。
「愛理」
真紘を抱っこしたまま時計を確認しようとすると、同居している母から声をかけられる。
「あなた、本当にいいの?」
目が合うや否や心配そうな面持ちで尋ねられ、私は笑った。この結婚を決めたときから母のこの台詞を何度聞いただろう。