悲しみも知らずに

東上財閥側が多忙な為
小翔音は、衛と一度も会うことなく
今日を迎えた。

本日は、 

   東上 衛

    と

  国枝 小翔音


の結婚式



それは、それは美しい
小翔音に出席者は、息を飲む。


国枝の両親への挨拶
東上の御両親への挨拶を済ませ
兄夫婦とも挨拶を済ませた。

時間になり式場へと入り
目の前に立つ男性が
本日から夫となる人だと

男性らしからぬ綺麗な顔
だが、その瞳には何も移さず
表情もない。
私を一瞥することも···ない···

誓いの言葉には
「はい。」
と、答えたのみ

無論、誓いのキスなどない。

終わってから
心配する家族に
「大丈夫です。」
と、何度も伝えた。


本当は一分でも一秒でも、
早くこの場から去りたかった。

怖さと切なさと苦しさで

  いっぱい····だった······
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