悲しみも知らずに

毎月、検診に行かされて
排卵日にやってくる衛に
恐怖しかない

ただ、ただ、早く終わって
出て行って欲しい

それだけ。


そんなんで、世継ぎなど
出来るはずもなく



一年が過ぎ····

二年が過ぎ····たとき····



小翔音は、東上に告げた。

「私の身体では
ご期待に添えない事は
わかりましたので
お暇を頂きたいと思います。」

東上が着替えて
マンションへと引き上がる前に
伝えないと
また、同じ事になると

小翔音は、玄関に土下座をして
東上へと伝えた。

東上は、小翔音を一度だけ見て
玄関から出て行った。

こんな思いをいつまで····

東上に嫁いで
東上の玄関先で
小翔音は初めて
声を上げて泣いてしまった。

その嗚咽は、
東上の邸内に響き渡った。
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