麻衣ロード、そのイカレた軌跡❶/咆哮
その3
麻衣


”バタン!”

”チャリチャリン…。コロコロ…”

「ああ、ゴメーン…」

「いや…」

「お金落としちゃったね。私、あっち拾ってくるよ。あなたは、そっちのをさ…」

「ああ…」


...


「…ええと、私の方は50円玉1個と10円2個だけど。全部拾えた?」

「うん。サンキュ、こっちからぶつかったのに」

「ううん、いいんだよ。私もよそ見してたから」

「そうか。じゃあ、わざとだっての、気づかなかったか?」

「え?わざとだったの、ぶつかったの…」

「まあね。北田さんとは友達になりたかったから…。そのきっかけと思ってね」

さあ…、コイツ、どう出る⁉

私は心の中で二ヤつきながら、北田久美の目をじっと見つめていた

すると…

「そうなの…。それはわざわざ、どーも」

「は…❓❓」

コイツ…、ニコニコ顔満面で、ペコンとアタマ下げてやんの…

「私も本郷さんとは友達になりたかったから~。そっちからきっかけ作ってくれて、手間省けちゃった。ハハハ…」

これが久美との”最初”だった


...


合格だわ、コイツ!

こんなヤツも大河原にいるとはねー

「北田さん、私の名前、知ってたのか…」

「モチだよ。みんな、あなたがメチャクチャ頭いいの知ってるし…。確か私立の有名校受けたんでしょ?」

「まあね。見事、落っこちて、県立もダメで…」

「そんで、2次でココにだよねー❓すごいじゃん‼」

「…」

なんちゅう褒め言葉だっての!


...


「それでさ…、私なんかと友達になりたいって…、なんで❓」

「そっちこそ、何で❓」

私は敢えてカマかけてやったよ

「そりゃ~、勉強教えてもらいたいから。私…、多分、この大川原でもさ、お尻の方でやっと入ったんだよ。このバカ学校でも特別アタマ悪いから…。やっぱ、勉強できる友達は必要でしょ❣」

「…」

私はいい意味で衝撃受けたよ

「それで、本郷さんはなんで、私を…❓」

「高校入ったら、何としてもやりたいと思ってるコトがあってね。それを一緒にって仲間が欲しくてさ。…友達はゴキゲンな活きのいい子だけと決めてたんだ。だからね」

「私でいいの❓」

「どうだい、北田さん!せっかく、有名なバカ学校に来たんだ。中途半端に勉強なんかしても意味ないし、スリリングなチャレンジを私と一緒しないか?」

「えー、スリリングか…。うん!やる、やる~~❣」

北田の久美さん、二つ返事だったわ(バク笑!)

とにもかくも、コイツはいたって単純だったが、まあ、私にとってはまさしく好都合と言えたかな(苦笑)

で…、その次の展開もこれまた、実に早かったんだよね…






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