彩国恋花伝〜白き花を、麗しき紅い華に捧ぐ〜
対面の時
美咲side
国王とはいえ、クソ部長にそっくりなこの男の隣りに居ることは、苦痛以外のなにものでもない。
辛く長〜い時間を耐え忍び、ひと通りの儀式が終わると、国王からは意外にもあっさりと解放された。
(やっと、終わったぁ!)
王宮の使用人達に案内されるがまま、広場とは別の方向に下りていき、堅苦しい婚礼会場をあとにする。
(本当に、良い気候だ)
色とりどりの花が咲き誇る庭園を通り抜け、暫く進んでいくと、また新たな宮殿が現れた。
「こちらが、ヨナ様専用の南殿になっております」
使用人の一人が振り返って言った。
(えっ?)
私は、瞳をギラギラと輝かせながらその建造物を見上げた。
(これが、私の居住スペース? うひょーーっ!! まるで平安京や首里城を独り占めにしたような気分だ!)
再びテンションは上がり、その中心になっている建物の中へと軽い足取りで入っていく……。
(まじですか?)
昨日過ごしたホン家にも立派な家具が並べられていたけれど、比べようがないほどグレードの高い家具がさりげなく置かれている。
まさに、東洋のお城だ。
高笑いを抑えながら辺りを見渡していると、使用人達がワサワサと寄ってきた。
(えっ、なになに?)
まるで人形のように、重い髪飾りや着物が剥がされていく。
(ふぅ〜、軽くなった〜。首が痛〜いっ……)
肩書きや形式、全てから解放され、少しホッとする。
「ヨナお嬢様! 先程の巫女が参りました」
(えっ、本当に呼んでくれたの!)
チヌが約束を守ってくれた。しかも、仕事が早い!
いよいよ、対面の時だ。
肌襦袢のまま急いで戸を開けると、チヌの横には巫女姿の元女子高生が立っていた。
間違いなく、あの日、あの朝、駅のホームから飛び込み自殺をしたあの子だ。
「ヨ、ヨナお嬢様、きちんとお着替えをお済ませ下さい」
淫らな私の姿に、チヌが仰天している。
(さすがに、慌て過ぎたか……)
ゆっくりと後ずさりしながら、「とにかく中に入ってもらえる? 」と、元女子校生に手招きをする。
「あと、ここからはもう大丈夫なので、皆さんは帰って下さい。お疲れ様でした」
軽く頭を下げながら終了を告げたのに、部屋や廊下に立っていた使用人達は、どうしたら良いのか分からず唖然としている。
(言葉が通じないのか?)
結局、チヌに泣きついた。
「チヌ、お願い! 二人きりで、女同士の話がしたいの」
「お二人に……?」
「そうそう」
困惑するチヌに、上目遣いでお茶目に頷いてみる。
「人払いを」
チヌが近くにいた使用人にそう告げると、まるで波が引けるように全員消えていった。
「じゃ、チヌもゆっくり休んで! 何かあったら、必ず呼ぶから」
「では、何かありましたら、すぐにお声をお掛け下さい」
チラチラと振り返り……、首を傾げながら……、チヌも部屋を出ていった。
辛く長〜い時間を耐え忍び、ひと通りの儀式が終わると、国王からは意外にもあっさりと解放された。
(やっと、終わったぁ!)
王宮の使用人達に案内されるがまま、広場とは別の方向に下りていき、堅苦しい婚礼会場をあとにする。
(本当に、良い気候だ)
色とりどりの花が咲き誇る庭園を通り抜け、暫く進んでいくと、また新たな宮殿が現れた。
「こちらが、ヨナ様専用の南殿になっております」
使用人の一人が振り返って言った。
(えっ?)
私は、瞳をギラギラと輝かせながらその建造物を見上げた。
(これが、私の居住スペース? うひょーーっ!! まるで平安京や首里城を独り占めにしたような気分だ!)
再びテンションは上がり、その中心になっている建物の中へと軽い足取りで入っていく……。
(まじですか?)
昨日過ごしたホン家にも立派な家具が並べられていたけれど、比べようがないほどグレードの高い家具がさりげなく置かれている。
まさに、東洋のお城だ。
高笑いを抑えながら辺りを見渡していると、使用人達がワサワサと寄ってきた。
(えっ、なになに?)
まるで人形のように、重い髪飾りや着物が剥がされていく。
(ふぅ〜、軽くなった〜。首が痛〜いっ……)
肩書きや形式、全てから解放され、少しホッとする。
「ヨナお嬢様! 先程の巫女が参りました」
(えっ、本当に呼んでくれたの!)
チヌが約束を守ってくれた。しかも、仕事が早い!
いよいよ、対面の時だ。
肌襦袢のまま急いで戸を開けると、チヌの横には巫女姿の元女子高生が立っていた。
間違いなく、あの日、あの朝、駅のホームから飛び込み自殺をしたあの子だ。
「ヨ、ヨナお嬢様、きちんとお着替えをお済ませ下さい」
淫らな私の姿に、チヌが仰天している。
(さすがに、慌て過ぎたか……)
ゆっくりと後ずさりしながら、「とにかく中に入ってもらえる? 」と、元女子校生に手招きをする。
「あと、ここからはもう大丈夫なので、皆さんは帰って下さい。お疲れ様でした」
軽く頭を下げながら終了を告げたのに、部屋や廊下に立っていた使用人達は、どうしたら良いのか分からず唖然としている。
(言葉が通じないのか?)
結局、チヌに泣きついた。
「チヌ、お願い! 二人きりで、女同士の話がしたいの」
「お二人に……?」
「そうそう」
困惑するチヌに、上目遣いでお茶目に頷いてみる。
「人払いを」
チヌが近くにいた使用人にそう告げると、まるで波が引けるように全員消えていった。
「じゃ、チヌもゆっくり休んで! 何かあったら、必ず呼ぶから」
「では、何かありましたら、すぐにお声をお掛け下さい」
チラチラと振り返り……、首を傾げながら……、チヌも部屋を出ていった。