彩国恋花伝〜白き花を、麗しき紅い華に捧ぐ〜
世奈side
結局、今日も私は生きている。
当たり前のようにこの世界で目覚め、生きる為に朝食を摂った。
巫女として過ごす日々……。
毎朝のお祈りのお蔭で、この世界の文字や言葉も少しは理解できるようになっていた。
「明後日、王宮にて華の宴が執り行われる。伝統あるご夫人達の祭り事だ。皆、しっかりと準備しておくように」
お祈りのあと、マヤ様から全員にそう伝えられた。
「はい、マヤ様!」
礼拝堂に、巫女達の明るい声が響き渡る……。
どうやら、私達は王宮の催事に出席するらしい。
(ということは、また美咲さんに会えるかもしれない!)
この世界が何なのか、元の世界にはどうしたら帰れるのか、まだ何も分かっていないけれど、なぜか美咲さんに会いたいと思っていた。
「スヨンとコウは、生地屋に頼んである札入れを取りに行ってくるように」
そう告げて、マヤ様は副代表と共に席を立った。
「はい、マヤ様」
そう応えながら、コウが嬉しそうに私を見る。
「はい、マヤ様」
どこに何を取りに行くのか全く分からないけれど、私もそう応える癖が付いていた。
「楽しみね〜」「何を着て行こうかしら?」
華の宴について語り合いながら、巫女の集団がそれぞれの部屋へと戻っていく。
「スヨン、早く支度しましょ」
隣りを歩いていたコウが、急かすような視線を送りながら言った。
そんなに嬉しいことなのか、コウのテンションは高い。
「札入れって……、どこに取りに行けばいいの?」
「えっ……」
無神経なことを聞いてしまったのだろうか? コウのテンションが、一気に下がるのが分かった。
「そうだったわね。覚えてないのよね……。市場よ、隣り町の大きな市場! いつもなら、私よりスヨンの方が喜んでたんだけど」
(隣り町の市場……。本物のスヨンは、喜んでたんだぁ)
「なんか……、ごめんなさい」
「ううん。行けば、なにか思いだすかもしれないわね……」
私のせいで、コウをがっかりさせてしまった。コウには、本当のことを話すべきなのかもしれない。
当たり前のようにこの世界で目覚め、生きる為に朝食を摂った。
巫女として過ごす日々……。
毎朝のお祈りのお蔭で、この世界の文字や言葉も少しは理解できるようになっていた。
「明後日、王宮にて華の宴が執り行われる。伝統あるご夫人達の祭り事だ。皆、しっかりと準備しておくように」
お祈りのあと、マヤ様から全員にそう伝えられた。
「はい、マヤ様!」
礼拝堂に、巫女達の明るい声が響き渡る……。
どうやら、私達は王宮の催事に出席するらしい。
(ということは、また美咲さんに会えるかもしれない!)
この世界が何なのか、元の世界にはどうしたら帰れるのか、まだ何も分かっていないけれど、なぜか美咲さんに会いたいと思っていた。
「スヨンとコウは、生地屋に頼んである札入れを取りに行ってくるように」
そう告げて、マヤ様は副代表と共に席を立った。
「はい、マヤ様」
そう応えながら、コウが嬉しそうに私を見る。
「はい、マヤ様」
どこに何を取りに行くのか全く分からないけれど、私もそう応える癖が付いていた。
「楽しみね〜」「何を着て行こうかしら?」
華の宴について語り合いながら、巫女の集団がそれぞれの部屋へと戻っていく。
「スヨン、早く支度しましょ」
隣りを歩いていたコウが、急かすような視線を送りながら言った。
そんなに嬉しいことなのか、コウのテンションは高い。
「札入れって……、どこに取りに行けばいいの?」
「えっ……」
無神経なことを聞いてしまったのだろうか? コウのテンションが、一気に下がるのが分かった。
「そうだったわね。覚えてないのよね……。市場よ、隣り町の大きな市場! いつもなら、私よりスヨンの方が喜んでたんだけど」
(隣り町の市場……。本物のスヨンは、喜んでたんだぁ)
「なんか……、ごめんなさい」
「ううん。行けば、なにか思いだすかもしれないわね……」
私のせいで、コウをがっかりさせてしまった。コウには、本当のことを話すべきなのかもしれない。