彩国恋花伝〜白き花を、麗しき紅い華に捧ぐ〜
美咲side
「ヨナ様! 王様からの贈り物をお届けに参りました」
張りのある男の声が、南殿に響く……。
(えっ、国王からのプレゼント?)
意味が分からずに、衣装を整えてくれていたチヌと顔を見合わせる……。
王宮の使用人達がスーッと戸を開けると、髭をはやした初老の宝石商人が真っ赤な風呂敷包を抱えて立っていた。
「ヨナ様が申されていた、透明に輝く石を見つけたのです!」
宝石商人が、誇らしげに包みを差しだす。
「えっ、透明に輝く石って……」
チヌが部屋の奥へと通すと、宝石商人は抱えていた風呂敷包を丁寧に開いていき……、
一番上に積まれている立派な木箱の蓋を開けて、慎重にその中の物を見せた。
(う、うっそーっ!)
一目で分かった。本物だと。この世界にもあったんだ、私が愛して止まないダイヤモンドが!!
技術こそ乏しく、人工的な磨きは施されていないが、自らが解き放つ煌めきは想像を遥かに超えている。
(神々しい……。なんて、美しいの!)
暫し、心と瞳を完全に奪われる……。
「王様の命により、ヨナ様に合わせて仕上げて参りました」
「えっ、私に合わせて?」
(こ、このダイヤモンドを、私に? 国王は……、国王は……、本当にいい奴だ!)
最近、私の中で、国王の株は急上昇している。王妃一筋の国王は、私には何も求めず、ただひたすら与え続けてくれるという非常にありがたい存在だ。
「あの、着けてみてもいいですか?」
「是非に」
宝石商人が、箱から出して手渡してくれる。
燦然と輝きを放つその宝石を、左手の薬指にはめてみた。
(わぁ、ピッタリ! デザインのセンスも最高じゃない!)
「見てーっ、チヌ!」
「見事な輝きでございます! この世の物とは思えませぬ」
チヌも、目をパチクリさせている。
「それから、こちらは、ヨナ様が発注されていた物でございます」
そう言って、宝石商人が二番目の木箱の蓋を開けて見せた。
中には、華の宴の時に着けていたエメラルドの指輪が入っている。私が、サイズを造り変えて欲しいとお願いしたものだ。
「あっ、これはチヌに」
そう言いながら箱から取り出し、チヌの右手の薬指にはめてみた。
「うぉー、ピッタリ! 私、さすがだわ」
このエメラルドは、私よりチヌの方が絶対に似合うと思ってリフォームしてもらっていたのだ。
「ヨナお嬢様、いけません」
チヌが、指輪をはずそうとする。
「いいじゃない! 王宮の使用人達だってみんな宝石着けてるし、その薄い緑の装束にはやっぱりエメラルドよ! それに、チヌにもお洒落して欲しいの! 王様も、良き事だって賛成してくれたし」
再び、チヌの手を取り着け直す。
「ヨナお嬢様……」
チヌが瞳を潤ませながら、私とエメラルドの指輪を交互に見つめている。
「宝石を着けると気分が上がるし、自分にも自信が湧いてくる! 女にとっては必需品よ!」
「その通りでございます!!」
私の言葉に頷きながら、宝石商人が嬉しそうにチヌを見つめている。
「お二人とも、実によくお似合いになっておられます。では、わたくしはこれで」
そう言いながら慣れた手付きで風呂敷をサッと畳み、宝石商人が満足そうな笑顔で部屋を出ていく……。
「ありがとうございました!」
ハイテンションのまま渡り廊下に出て、チヌと二人で見送った。
張りのある男の声が、南殿に響く……。
(えっ、国王からのプレゼント?)
意味が分からずに、衣装を整えてくれていたチヌと顔を見合わせる……。
王宮の使用人達がスーッと戸を開けると、髭をはやした初老の宝石商人が真っ赤な風呂敷包を抱えて立っていた。
「ヨナ様が申されていた、透明に輝く石を見つけたのです!」
宝石商人が、誇らしげに包みを差しだす。
「えっ、透明に輝く石って……」
チヌが部屋の奥へと通すと、宝石商人は抱えていた風呂敷包を丁寧に開いていき……、
一番上に積まれている立派な木箱の蓋を開けて、慎重にその中の物を見せた。
(う、うっそーっ!)
一目で分かった。本物だと。この世界にもあったんだ、私が愛して止まないダイヤモンドが!!
技術こそ乏しく、人工的な磨きは施されていないが、自らが解き放つ煌めきは想像を遥かに超えている。
(神々しい……。なんて、美しいの!)
暫し、心と瞳を完全に奪われる……。
「王様の命により、ヨナ様に合わせて仕上げて参りました」
「えっ、私に合わせて?」
(こ、このダイヤモンドを、私に? 国王は……、国王は……、本当にいい奴だ!)
最近、私の中で、国王の株は急上昇している。王妃一筋の国王は、私には何も求めず、ただひたすら与え続けてくれるという非常にありがたい存在だ。
「あの、着けてみてもいいですか?」
「是非に」
宝石商人が、箱から出して手渡してくれる。
燦然と輝きを放つその宝石を、左手の薬指にはめてみた。
(わぁ、ピッタリ! デザインのセンスも最高じゃない!)
「見てーっ、チヌ!」
「見事な輝きでございます! この世の物とは思えませぬ」
チヌも、目をパチクリさせている。
「それから、こちらは、ヨナ様が発注されていた物でございます」
そう言って、宝石商人が二番目の木箱の蓋を開けて見せた。
中には、華の宴の時に着けていたエメラルドの指輪が入っている。私が、サイズを造り変えて欲しいとお願いしたものだ。
「あっ、これはチヌに」
そう言いながら箱から取り出し、チヌの右手の薬指にはめてみた。
「うぉー、ピッタリ! 私、さすがだわ」
このエメラルドは、私よりチヌの方が絶対に似合うと思ってリフォームしてもらっていたのだ。
「ヨナお嬢様、いけません」
チヌが、指輪をはずそうとする。
「いいじゃない! 王宮の使用人達だってみんな宝石着けてるし、その薄い緑の装束にはやっぱりエメラルドよ! それに、チヌにもお洒落して欲しいの! 王様も、良き事だって賛成してくれたし」
再び、チヌの手を取り着け直す。
「ヨナお嬢様……」
チヌが瞳を潤ませながら、私とエメラルドの指輪を交互に見つめている。
「宝石を着けると気分が上がるし、自分にも自信が湧いてくる! 女にとっては必需品よ!」
「その通りでございます!!」
私の言葉に頷きながら、宝石商人が嬉しそうにチヌを見つめている。
「お二人とも、実によくお似合いになっておられます。では、わたくしはこれで」
そう言いながら慣れた手付きで風呂敷をサッと畳み、宝石商人が満足そうな笑顔で部屋を出ていく……。
「ありがとうございました!」
ハイテンションのまま渡り廊下に出て、チヌと二人で見送った。