彩国恋花伝〜白き花を、麗しき紅い華に捧ぐ〜
決断の時
世奈side
「此度、ホン一族の処刑が執行される。祈りの儀式を行うゆえ、参道にて待機をするように」
マヤ様からの指令を聞いて、目の前が真っ暗になった……。
コウと二人、呪術についてさんざん調べ尽くしたが、今日まで何も出来ずにこの日を迎えてしまったのだ。
沈んだ様子の巫女達が、無言のままゾロゾロと礼拝堂を出ていく……。
その後に続いてはいくけれど、身も心もズッシリと重く、もうどうにも力が入らない。
この絶望的な気怠さは、あの日々と同じだ。
元の世界で生きていた頃の、学校に行きたくない朝とよく似ている。
情報通の巫女達の話によると、ホン一族の者でも、ホン家が謀反を企てていたことを証言すれば、命は保証すると約束されていたらしい。けれども、誰一人として命乞いはしなかったという。
凄い一族だ! それに引き換え、私はなんて無力なんだろう……。
無念、怒り、苦しみ……。さまざまな感情が入り乱れるだけで、行動することができない……。
(本当に、私は何もできないの? なんの力もないの? 美咲さん……。ジュンユン様……。私は、この不条理な出来事から二人を助けだすことは出来ないの?)
自問自答を繰り返しながら、ただただ足を運んで礼拝堂を出る。
川原沿いの道は、既に多くの人で溢れて返っていた。
今にも泣き出しそうな灰色の空が、頭の上に重くのしかかっている。
「ホン一族を処刑するなんて、世も末だよ!」「この国は、もう終わりだ!」
参道に並び出た民達の、嘆き悲しむ声が聞こえてくる。
(ホン一族は、人々にこんなにも愛されているのに……。あの札だ! あの札が、一族を罪人に仕立ててるんだ!
それを知っているのに……。ここに立っている私は、どれだけ重い罪を犯しているんだろう)
頭痛、吐き気、細胞の全てが劣化していくようで、身体や足の震えが止まらない……。
この世界は、私が苦しむ為の幻想世界のようにも思えてきた。
前世ではなく、私は既に地獄に堕ちていたのかもしれない……。
マヤ様からの指令を聞いて、目の前が真っ暗になった……。
コウと二人、呪術についてさんざん調べ尽くしたが、今日まで何も出来ずにこの日を迎えてしまったのだ。
沈んだ様子の巫女達が、無言のままゾロゾロと礼拝堂を出ていく……。
その後に続いてはいくけれど、身も心もズッシリと重く、もうどうにも力が入らない。
この絶望的な気怠さは、あの日々と同じだ。
元の世界で生きていた頃の、学校に行きたくない朝とよく似ている。
情報通の巫女達の話によると、ホン一族の者でも、ホン家が謀反を企てていたことを証言すれば、命は保証すると約束されていたらしい。けれども、誰一人として命乞いはしなかったという。
凄い一族だ! それに引き換え、私はなんて無力なんだろう……。
無念、怒り、苦しみ……。さまざまな感情が入り乱れるだけで、行動することができない……。
(本当に、私は何もできないの? なんの力もないの? 美咲さん……。ジュンユン様……。私は、この不条理な出来事から二人を助けだすことは出来ないの?)
自問自答を繰り返しながら、ただただ足を運んで礼拝堂を出る。
川原沿いの道は、既に多くの人で溢れて返っていた。
今にも泣き出しそうな灰色の空が、頭の上に重くのしかかっている。
「ホン一族を処刑するなんて、世も末だよ!」「この国は、もう終わりだ!」
参道に並び出た民達の、嘆き悲しむ声が聞こえてくる。
(ホン一族は、人々にこんなにも愛されているのに……。あの札だ! あの札が、一族を罪人に仕立ててるんだ!
それを知っているのに……。ここに立っている私は、どれだけ重い罪を犯しているんだろう)
頭痛、吐き気、細胞の全てが劣化していくようで、身体や足の震えが止まらない……。
この世界は、私が苦しむ為の幻想世界のようにも思えてきた。
前世ではなく、私は既に地獄に堕ちていたのかもしれない……。