彩国恋花伝〜白き花を、麗しき紅い華に捧ぐ〜
 再び、少し静かになった駅のホームに立ち、思いを巡らせる……。

 あの世界は……、世奈と過ごしたあの日々は……、確かに私の前世だった。

 世奈の巻き添いで、訳の分からない世界に来てしまったと思い込んでいたけれど……、
 本当は、私自身が行かなければならなかったんだ。

 何も分かっていない私に、兄上であるイケメン天使はダメ出ししたかったのだろう。
 
 チヌ……。
 チヌが今の私を見ていたら、きっと叱られるね。

「殿方お二人と情を交わすなど、あってはならぬことです! ヨナお嬢様には、お心がないのですか! ! 」って、呆れられるね。

 でも、もう計算で男を選んだりしない。チヌを、がっかりさせたりしないよ!

 国王と王妃。
 イケメン天使と世奈。

 本当の愛を知ったから!

 チヌが守ってくれたヨナの命……。
 スヨンとして生きていた世奈が救ってくれたヨナの命……。
 私は今、その命を引き継いでいる。
 
 二人のように、誇り高く生きたい!
 自分に納得できる、悔いのない最期を迎えたい!

 だから、私は変わる。
 生きてることはチャンスだ!


〈美咲side fin〉
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