アイドルの秘密は溺愛のあとで
「い、や…でも、雑炊なんて…他の家でも作るし。マイナーな料理ではないから…うん。偶然…なんだよ、きっと」
箸から滑り落ちた麺を、再び拾う。そして「フーフー」と、息を吹きかけて湯気を飛ばした。私の体からジワジワと汗が出る。
そんな中、テレビの向こう側ではトークに花を咲かせていた。
『やっぱ一人で食べるご飯より、誰かと食べるご飯ですね!』
『え~!ちょっとレオくん!今のは意味深発言だよ!どういうこと⁉』
『あはは!いつの間にか家に住みついちゃった猫ですよ~』
なーんだ、とスタジオの空気が和むのが分かった。もちろん、それは私も同じ。
「よかった、ウチに猫はいないし。うん、やっぱり、たまたま当たっただけなんだ!
なーんだビックリした!一瞬、皇羽さんが本当にレオなのかと疑っちゃったよ~」
だけど、私は目にしてしまう。
決定的な瞬間を――