アイドルの秘密は溺愛のあとで
「(皇羽さんが二人…じゃなくて、レオが二人…?)」
二人⁉どういうこと!?
訳が分からなくて口をパクパクさせる私に、もう一人のレオは王子様のごとく、倒れている私へ手を伸ばした。
そして、まるでお姫様を扱うように、私の背中へ手を添えて起こしてくれる。
「やっほー野良猫ちゃん。この前ぶり~」
「この前…?」
「看病してくれた時あったでしょ?あの時はおかゆ食べなくてごめんね~」
「看病…おかゆ…?」
ふと、私の脳裏にあの時の事が蘇る。
そう言えば…皇羽さんの存在に違和感を覚えた日が一日だけあった。それは、皇羽さんが熱で倒れた日。午前中のこと。
――ニット帽をスッポリかぶった皇羽さん。あれ?出かける時は、いつもの帽子じゃなかったっけ?
――皇羽さん自身も、なんかいつもと表情違う気がするし…。って、そんなコート着てたっけ?
「え、あの時って、もしかして…!」
合点がいった私を見て笑う、もう一人の皇羽さん。
そして、いつかした時と同じように、私の手の甲に口づけを落とした。