アイドルの秘密は溺愛のあとで


「私が生まれた時から我が家は貧困でした。それが中学生に上がった時に、今日食べる物さえナイ困った状況になってきて…仕方なく、年齢を偽ってアルバイトを始めたんです」

「へぇ、なかなか大胆だね」

「…生きていくためですから」



情けなくて笑いがこみあげる。だけど玲央さんは「立派だね」と、一言。よく通る声で、そう言ってくれた。


すとんと、胸に落ちていく言葉。じんわりと温かみがあって…思わず、お礼を言ってしまう。



「ぷ、なんでお礼?まあいいや。それで、アルバイトしてる時に嫌な事があった?」

「…たくさん、ありました。寒くて、凍えそうな日に外でバイトした事もありました。

私と同じくらいの子は、友達と楽しそうに遊んでるのに何で私だけって…。まあ、そんな事言っても仕方ないんですけどね」



「他にも辛いことはあったの?」
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