アイドルの秘密は溺愛のあとで
「(家で私の名前を呼ぶ皇羽さんを思い出しただけなのに…っ)」
この一週間、全く会わなかったその人の名前。
一緒の家に住んでいながら、本人不在のため声も届かなかった人。
その人に、今日、私は――
「やっと会えるんだ…」
ファンの熱気にあてられてか。私の胸の中もザワザワと落ち着かない。
皇羽さんへ抱く気持ちがなんなのか分からないまま「皇羽さんに会いたい」と、強く願ってしまっている。
「(私、変だ…っ)」
だって、これじゃあまるで……皇羽さんのファンみたいじゃん。
ここにいる Ign:s ファンの人達と、同じ気持ちを持ってしまってるんだもん。
早く会いたいって思う、そういう気持ち。キラキラした、温かい感情。
「皇羽さん…ううん、レオ…」
なんでだろう。
早く、早くあなたに…会いたいの――
すると一曲目が終わり、メンバーはマイクを持ってステージに並ぶ。そして、
「お待たせ、ハニーたち!!」
レオが、その口を開いた。