アイドルの秘密は溺愛のあとで

「おにぎり…食べたかったなぁ…」



栗色ロングの私の髪に、空中を舞う灰が絡まる。黒色の斑点が、髪に浮かび上がった。



「はぁ、今日のお風呂大変だよ…。髪が長いとただでさえ洗うの面倒なのに。

じゃなくて…!

お風呂どころか、今日私が寝るところも無くなったよね…!?」



新年明けましておめでとうございます、のお焚き上げのノリでアパートを見てたけど…。


え、あの炎の中に私の全財産あるよね?微々たる額とはいえ。


それにお金だけじゃなくて、学校のカバンや制服や教科書、ノート、そして文房具。



「だけじゃなくてパジャマも!!」



ヤバい!完璧にヤバい…!
本当にヤバい!
何も残ってない!


何も手元にない!


今日は土曜日だから、私はダルダルの部屋着で外を散歩してただけで、今手の中にアパートの鍵が一つあるだけ…。



「じゃあ下着も…!?」



その時、消防士さんに「下がって!」と注意されてしまう。



「わ…!!」



慌てた私がコケそうになった、


ちょうど、その時――



ガシッ


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