アイドルの秘密は溺愛のあとで
「今調子悪いならバイト休め。そして辞めろ。俺が言いたいのはそれだけだ」
「さりげなく辞めさせないでください」
頑なに引かない私を見て、皇羽さんはため息をついた。「なんで分かってくれねーんだよ」と一言添えて。
だけど…私だって引けない理由がある。
それは――
「店長も秋奈さんも優しくて…私、あそこが気に入ってるんです。仕事も少しずつ覚えてるし…。暖かいあの場所を、拠り所にしちゃダメですか?」
「お前は…はぁ。また、そういう手口か」
「ほ、本音です!あの喫茶店は、私の癒しなんです。
家族がいなかった私にとって、お父さんやお姉ちゃんみたいに思えて……って、私が勝手に思ってるだけですが…!」
「変な事を言いました。すみません忘れてください」と付け足すと、皇羽さんは、またため息をついた。