アイドルの秘密は溺愛のあとで



バタンッ



「何してるんですか玲央さん!どこへ、」

「家に、帰る…。心配しないで……ね?」



「家に帰るって…。皇羽さん止めて、お願いします…っ」

「……」



だけど皇羽さんはタクシーの窓を覗き込み「大丈夫なんだな?」と玲央さんに尋ねる。


そして玲央さんが頷いたのを見ると、どこかの住所を玲央さんの代わりに運転手さんに伝えた。


そして、完全に背もたれにもたれかかった玲央さんを乗せて、タクシーはこの場を去る。


いつまでもタクシーを見る私とは違って、皇羽さんは「中入るぞ」と、私の手を引いてマンションへ入った。



「ちょ、待ってください!皇羽さんッ」



だけど皇羽さんは私を見ず、代わりにスマホを操作していた。そしてタップしたのを最後に、「よし」と私を見る。



「一応マネージャーにメール送った。大丈夫だ」

「大丈夫って…」

「玲央が大丈夫って言ったんだ。だから心配すんな」



その時の皇羽さんの口調は、本当にそう思っているようにも聞こえたし…。


これ以上は詮索するな、という線引きにも聞こえた。

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