アイドルの秘密は溺愛のあとで



「……」
「……」



それ以上、皇羽さんが何も喋らないところを見ると…やっぱり「もう玲央さんの事は聞いちゃいけない」んだと思う。


自分の勘を頼りに口を閉ざす。聞きたいことは、山ほどあるけど…。



バタン



「萌々、なんでバイト終わりに俺を待たなかった?」

「え…」



部屋に入った直後。皇羽さんは私に尋ねて来た。その言葉を聞いて、私はやっと皇羽さんから貰ったメールを思い出す。


そう言えば皇羽さんから「バイト終わったら待ってろ」って言われた。それを忘れて、私…っ。


皇羽さんが朝あんなに心配してくれたのに「大げさ」とか「大丈夫」とか。そんな言葉で流して、そして…もう少しで、取り返しのつかない事態になる所だった。



「…うっ、ごめ、なさ…っ」



私が謝ったのを聞いて…全てを把握したらしい皇羽さん。服の擦り切れる音をさせた後、私を優しく抱きしめた。


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