アイドルの秘密は溺愛のあとで
「無事で良かった…。本当に…生きた心地がしなかった」
「ごめ、なさ…っ」
「もしも萌々に何かあったら、俺はあの男をぶっ殺してるところだった。いや、既に今ぶっ殺してやりてぇ」
「皇羽、さん…」
ごめんなさい――と、もう一度謝る。皇羽さんは小さくなった私を見て「ん」と短く返事をし、頭を撫でてくれる。
その手つきは、あの男の人とは全然違って…。優しくて温かい皇羽さんの手に安心する。
うん、やっぱり。この手が良い。この手以外に触られるのは――嫌だ。
「皇羽さん…手……震えてますよ…?」
「…うるせぇよ」
皇羽さんは私の肩へ顔を埋めたきり、決して顔を見せなかった。そして「はぁ~」と深いため息をつく。