アイドルの秘密は溺愛のあとで


『宝くじ売り場…?』



真剣な目で。だけどどこか寂しそうな目で。モモは一点だけ見つめていた。

そして、何かを決心したように頷くと…。驚くことに宝くじ売り場の列に入り、お行儀よく並んだ。



『え、まじで?買うのかよ』



子供って宝くじ買えたか?
違反じゃなかったか?


そんな事を思っていると、俺のスマホが鳴る。出ると母親からで「車が進みそうだから戻ってきなさい」という事だった。



バタン



後ろ髪をひかれる思いで車に戻った俺は「はぁ」とため息をついた。隣にいる玲央が「なんでジュース買いに行ったのにポケットティッシュを持ってるの」と不思議そうに首をひねる。



『(あの子…)』



あのモモと言う子は、あのまま宝くじを買ったのだろうか。店員に売ってもらえたのだろうか。


そもそも――


あんな幼い子が、どうして宝くじを買おうと思ったのか。やっぱり…おかしい。そんな事あるわけないよな。

< 369 / 423 >

この作品をシェア

pagetop