アイドルの秘密は溺愛のあとで
頭の中で、萌々が俺に見せてきた態度が目まぐるしく流れる。
萌々はいつも、
いつだって…
―― Ign:s が大嫌いなんです…!
――ごめんなさい!出て行きます…!
――まだあなた物じゃありませんッ
いつだって、俺に向かって両手を広げた事はなかった。
いつもいつも、俺を受け入れるのかと思いきや直前にかわして…決して交わらなかった。
Ign:s のレオをする俺を拒否し続け、そして一度も俺に好きだと言わなかった。
その萌々が、俺に…
「俺のものになる…?」
それ…
聞き間違いじゃねーのかよ…?
「俺が電話でそう言ったから…約束を破るのは悪ぃと思って、同情してんのか…?」
「違います…っ」
「俺が何度もしつこいから…お前は仕方なく諦めて、それで、」
「違います…!」
ぎゅっ、と。俺の手を強く握る萌々。その手の温かさに、ハッとさせられる。