アイドルの秘密は溺愛のあとで


記憶を手繰り寄せている私に、イケメンが「おい」と話しかける。



「もしかして、この家…お前の?」

「私のっていうか…。私の住んでた部屋があるアパートです」

「げ、マジかよ…」



男の人は顔を歪めて、まるで自分に起きた事のように絶望の表情を浮かべた。もしかして、哀れんでくれてるのかな…?



「(優しい人なんだろうけど、今はちょっと心に突き刺さるというか…)」



「可哀想な目」で見られると、胸がキュッと苦しくなるから…苦手。こういう時は退散するに限る。



「さっきはありがとうございました!では、これで!」

「え…あ、おい!」



向きを変えてダッシュ!
しようとしたけど、今日の私はとことんツイてないようで。



ドンッ



誰かにぶつかって、今度こそ尻もちをついた。

あぁ…今日は本当にツイテない…。

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