アイドルの秘密は溺愛のあとで
「~っ!、うんっ」
涙を浮かべる私を、クウちゃんは抱きしめた。
私を大きな声で応援してくれるクウちゃん。
そんな彼女の存在の大きさを噛み締めて…力強く、ギュッと抱きしめた。
がんばれ
私を後押しする、その声が。
私に新たな一歩を、踏み出させてくれる。
そして――
「じゃあオーディションを始めます。
エントリーナンバー①番、夢見萌々さん」
「はい!」
たくさんの審査員が目の前に並ぶ中。私はゆっくり歩いて、立ち止まる。
ドクドクと鳴る心臓を撫でるように、大きく深呼吸をした。
「あなたの夢を教えてください」
「私の夢」
それは――
「 Ign:s のМVに出演し、彼らと思い切り笑い合って最高の作品を作る事です!」
新たなステージが、幕を開ける。
黒い箱に頼らない、私の新しい人生。
その一歩を――
私は今日、力強く踏み出した。
『アイドルの秘密は溺愛のあとで』
< end >
*あとがきの後に
【 溺愛に隠れた嫉妬のホワイトデー(短編)】(side皇羽)
の冒頭が少しだけあります*