アイドルの秘密は溺愛のあとで
「~っぁ、」
「……」
「(しまった!また私!)」
不意打ちすぎて、いつも声が出てしまう。こんな公共の場で!恥ずかしすぎる…!
人前に顔を晒せなくて、両手で顔を覆う。すると皇羽さんが「はぁ」と、またため息をついた。
「お前は本当…どうなってんだよ、マジで」
「な、何もどうもなってません…!」
「いや、なってるだろ。場所選ばずに俺をその気にさせるのやめろ」
「(その気ってどの気⁉)」
怖くて聞けないけど…!
指の隙間から、皇羽さんを覗き見る。すると――狭い視界の中で、意外な皇羽さんの一面を見つけた。
「(顔が真っ赤…照れてる)」
怒ったような、困ったような…。
眉間にシワを寄せて、足を組む皇羽さん。少しずれたサングラスから、彼の本音を見た気がした。
「い、意外にウブなんですね…」
「あ?今日の夜、覚えてろよ」
すぐに私が「すみません」と平謝りしたのは、言うまでもなかった。