アイドルの秘密は溺愛のあとで
「今のパスタの味がしねーのも、いま自分が不幸なのも、昔から苦労しているのも…。全部俺のせいにすればいいじゃねーか」
「ちょ、何言って、」
「それで」
グイッ――と顔が近づく。
目の前には、綺麗な皇羽さんの顔。
薄い唇は、少し戸惑いながら「それで」と。もう一度、同じ言葉を繰り返した。
「それで王子様も…俺にしちまえばいいじゃねーか。今までお前を不幸にしてきた責任とって、今度は俺がお前を幸せにしてやるよ」
「……は、はぁ?」
カラン――と。フォークがお皿の上にダイブする。
金属がぶつかり合う高い音がして、私はやっと我に返った。