アイドルの秘密は溺愛のあとで
「自分には何もねぇって思ってる奴の方が、意外と色んなモン持ってんだ。世の中そんなもんだ」
「そ…そうですか?」
「そーそー」
えっと。つまり…どういう事?励ましてくれてるって事?
疑問符を浮かべていると、「大体」と眉間にシワを寄せた皇羽さん。
「 Ign:s を嫌うのはお門違いだぞ。作詞担当の名前を見たのかよ?」
「 Ign:s が書いてるんじゃないんですか?」
「ちげーよ。大体楽曲提供されるんだよ。『Wish&』は…」
チラリと私を見た後、皇羽さんは罰が悪そうに目を逸らす。え、ちょ、なに?
「あの、一思いに言ってくれた方が楽なのですが…」
「〜そんなの、」
分かってるっての――と、皇羽さんは帽子の上から頭をかく素振りをした。