アイドルの秘密は溺愛のあとで
「よし、行きますか」
真新しい制服に身を包んだ私は、玄関で靴を履いていた。色んな事があった土日だったけど、変わらずに登校出来るのが嬉しい。
「もう学校辞めて働かなきゃなぁって思ってたから…。って、学校辞めなくても働かないといけないんだった!」
学校帰りに求人誌を持って帰ろう――そう思い、立ち上がった。
その時だった。
ガチャ
「あ、皇羽さん。おかえりなさい。どうでした?体温計と風邪薬、ありましたか?」
「……え?」
「ん?」
「……えぇ?」
ニット帽をスッポリかぶった皇羽さん。あれ?出かける時は、いつもの帽子じゃなかったっけ?
皇羽さん自身も、なんかいつもと表情違う気がするし…。って、そんなコート着てたっけ?