アイドルの秘密は溺愛のあとで
「そう言えば、さっき皇羽さんに触られた時に全然熱くなかった。顔も、いつも通りの顔色だし…。でも、今朝はあんなに調子悪そうだったよね?」
短時間で回復しそうな体調じゃなかったはず。それに…例え少し回復したからと言って、このまま一人にしておくわけにはいかないよね。
「今日の学校は休むしかないか。近くに公衆電話ないかな。学校に電話しなきゃ………………あぁ、そうだった」
マンションのエレベーターが来るの遅くて良かった。部屋に戻らないと。
手持ちのお金が全くないことに気づき、私は「すみません」と土下座をしながら。皇羽さんに諸々のお金を貸してもらったのだった。
◇
バタンッ
「はぁ~帰りましたぁ」
風邪薬も買った、体温計も買った、学校にも電話した、求人誌も貰った。最後に、おかゆを作ろうと思って少しだけ材料を買った。よし、ぬかりはない。
のに。
私が東奔西走して走り回っていたというのに、この男。
皇羽さんはソファに寝転んで、あろうことか私の嫌いな Ign:s が出ているテレビ番組を見ていた。