恋人たちの疵夏ーキヅナツー
川原で/その2
アキラ


なるほど、どうりであの恰好な訳だ

見たところ族の集会のようだし

ざっと50人は下らないかな

男もいるけど、だいたいは女子校生のようだ

皆、ケイコちゃんに挨拶してるわ

これで彼女の立場は一目瞭然だ

...


テントの中にいる男は、オレひとり

それにしても奥で椅子に腰かけている子、目つき鋭いな

これも一目でボス格だとわかるわ

ケイコちゃんを除いて全員、萎縮してるし

それになんだよ、正座させられてる子もいるよ

あれ、なんかオレにもからんでくる

怖いな、ボスの子

で、オレはテントの外へ。確かに部外者だし

ケイコちゃんはあわただしくテントに戻った

誰かに乗せてもらうから帰りは大丈夫、と言って

...


しかし、彼女はなんでオレをここに連れてきたのかな

皆にオレを彼氏とかって、紹介するつもりだったのか

明らかに違う気がする

ケイコちゃんはまた、次の約束を口にした

今度は4日後、ケイコちゃんのアパートだ

6時ちょうどに直接、部屋に入ってこいだって

鍵開けとくからと

うーん、ますますもってわからん、この子

オレは土手を上がりバイクにまたがった

眼下には「火の玉川原」

昔から、女同士の決闘の舞台だったとか、言われてるらしい






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