恋人たちの疵夏ーキヅナツー
惨夜の一室/その3
麻衣



なあ、アキラさん…

”なぜだよ、どうしてだよ”って、聞いてんでしょ?

訳知りたいよな、当たり前だ、ははは…

だけどね、理由以前に”隙”、あんだよ

アンタにはさ

そこが、そもそものとこかなってな

いや、決定的だソレ

それって、おけいにも迷惑かけてんだぞ、脇甘いってことで

...


第一、くだらない連中から嫉妬とか、矛先にされてる時点で、墓穴もんなんだよ

わかるか?

ずっと年下の私が言うのもアレだけど、自業自得の根っこはそんなとこだって

もっとも、アンタには私もジェラシー感じたけどね、ハハハ

だから、私もくだらないんだよ

所詮はね…

ところがさ、私…、自覚してんだよね、その辺

奴らとはそこが違う

アンタにとっては、私、イカレてるとしか見えないだろうけど、真正面からは逃げてないんだ

そこんところ、理解、よろしくね

なにしろ、あの相馬豹一の狂った血筋にされてるから、私

だんだんと、その気になってきちゃってさ

最後には、愛しちゃったんだよ、あの人を、ハハハ…

...


そこで、結論だ

明日は、とりあえずキャンセルしてもらう

”大阪行き”はなしになった…

これは絶対だ、悪いがね

そのあと、また頑張れ

それなりに埋合わせは考えてるから

それと、私らの”シナリオ”には乗ってもらう

イヤとは言えない状況は、後で説明するからさ、”別の人”がさ

それと、おけいとのこと、決して邪魔してるつもりはないんだ

ホントだよ、ただ試させてもらってるだけなんだよ

痛い思いさせて、こっちも心痛むけど…

今夜はトコトン、お互い向き合おうぜ!

夜は長いんだし(笑)

以上、アンタのこと、全部知っての上で、ってことでの話だから

少なくとも、アンタがマッドハウスにたどり着いた以降は把握してる

ははは…、興味深いよ、アンタみたいに”フレ”た男って






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