恋人たちの疵夏ーキヅナツー
惨夜の一室/その9
アキラ
眠っているようで、起きている以上に覚醒していた時間
はたして、どのくらいだったのだろうか
時計を見ると、朝8時を過ぎていた
ははは、ホントなら大阪にいた
今頃、会場に向かってるところだよ!
なのに、何やってんだ、オレ
こんなところで、壊れたギターと睨めっこだ
出がけにもらったお守りは、”大阪行き”のバッグにぶら下がってる
ケイコちゃん、ゴメン、ゴメンな…
...
麻衣が戻ってきた
こいつのおかげで、オレこんなだよ、この野郎!
自分でいうのもなんだが、かつてないくらいの”衝動”に駆られてる
ふと、すでに一人になってる、店内の男に視線を向けた
そいつは一番小柄だった男で、カウンターに座ってた
目を通していた新聞をさり気なくずらし、オレをチラリと覗きこんでる
フン、こいつらの”仕事内容”はいつも、こんなだ
おれは”一般人”だが、さんざん見せられてきた
間宮さんや浅田さん、目、ぎとぎとさせて、理解不能だった
ずっと内心で思ってたこと、今の自分に吐き出してる
そんな自分、正直に認めてる
客観的に見て、こいつらからすればオレは弱者だ
弱者をとことん追い込んで、自分の得点にする
そのくせ、強いモノにはみっともないほど尻尾を振る
勝手に大義名分、自分の中で成立させて…
ケイコちゃんを見てみろ!見習え!
こいつら、クソッ…
...
その少し前から、オレの鼻にはシャンプーの香りが、届いていた
いい匂いだが、麻衣の体からだと考えると、言い様なく臭い
シャワー浴びてきたようだ、いい身分だよ…、コイツ
カウンターで新聞を読んでたその男に、麻衣は何やら声をかけている
どうやら、オレの監視は終了らしい
男は麻衣に挨拶して店を出た
...
店の中は麻衣とオレがいるだけだ
麻衣は自分の判断で、オレと二人きりになったということだ
剣崎はどこかにいるのかもしれないが、とりあえず視界にはいない
今、こいつに、感情の限りをぶつけるのは可能だ
人に邪魔されなきゃ、犯すことやボコボコも自信ある
一晩監禁されても、それくらい、小娘相手にはできる
やってやるか!
そんな気持ち、生まれてはじめてだった
どんな表情でこんな気持ち抱いてるのだろう、今のオレ
醜い顔つきには違いないんだろうな…
アキラ
眠っているようで、起きている以上に覚醒していた時間
はたして、どのくらいだったのだろうか
時計を見ると、朝8時を過ぎていた
ははは、ホントなら大阪にいた
今頃、会場に向かってるところだよ!
なのに、何やってんだ、オレ
こんなところで、壊れたギターと睨めっこだ
出がけにもらったお守りは、”大阪行き”のバッグにぶら下がってる
ケイコちゃん、ゴメン、ゴメンな…
...
麻衣が戻ってきた
こいつのおかげで、オレこんなだよ、この野郎!
自分でいうのもなんだが、かつてないくらいの”衝動”に駆られてる
ふと、すでに一人になってる、店内の男に視線を向けた
そいつは一番小柄だった男で、カウンターに座ってた
目を通していた新聞をさり気なくずらし、オレをチラリと覗きこんでる
フン、こいつらの”仕事内容”はいつも、こんなだ
おれは”一般人”だが、さんざん見せられてきた
間宮さんや浅田さん、目、ぎとぎとさせて、理解不能だった
ずっと内心で思ってたこと、今の自分に吐き出してる
そんな自分、正直に認めてる
客観的に見て、こいつらからすればオレは弱者だ
弱者をとことん追い込んで、自分の得点にする
そのくせ、強いモノにはみっともないほど尻尾を振る
勝手に大義名分、自分の中で成立させて…
ケイコちゃんを見てみろ!見習え!
こいつら、クソッ…
...
その少し前から、オレの鼻にはシャンプーの香りが、届いていた
いい匂いだが、麻衣の体からだと考えると、言い様なく臭い
シャワー浴びてきたようだ、いい身分だよ…、コイツ
カウンターで新聞を読んでたその男に、麻衣は何やら声をかけている
どうやら、オレの監視は終了らしい
男は麻衣に挨拶して店を出た
...
店の中は麻衣とオレがいるだけだ
麻衣は自分の判断で、オレと二人きりになったということだ
剣崎はどこかにいるのかもしれないが、とりあえず視界にはいない
今、こいつに、感情の限りをぶつけるのは可能だ
人に邪魔されなきゃ、犯すことやボコボコも自信ある
一晩監禁されても、それくらい、小娘相手にはできる
やってやるか!
そんな気持ち、生まれてはじめてだった
どんな表情でこんな気持ち抱いてるのだろう、今のオレ
醜い顔つきには違いないんだろうな…