恋人たちの疵夏ーキヅナツー
盛夏の傷痕/その3
麻衣



倉橋さん、車からロープ持ってきて、手早くおけいをグルグル巻きだ

さすがに手馴れてる

憔悴気味のこんな細い女、訳ねえや

「てめえ、アキラに何した?」

あのな、全部言ってやりたいけど、今日のとこはダイジェスト版だ

「アキラをさ、大阪に行かせたくないヤツの依頼があってね。今のお前みたに縛ってた、一晩な。それに、”相棒”のお前を奪った、お仕置きもしてやった。で、今朝解放したよ」

そう話してやったら、ますます怒ってやんの、コイツ

床に転がって、縄でグルグルの体、激しく動かしてジタバタしてる

私は、長期戦に切り替えた

じっくり付き合ってやる、まずはアタマ冷やせ

こっちも冷静になるからさ

ん?壁に写真なんか貼っちゃってるわ…、完全、”女の子”じゃん

...


時折、怒鳴り合いながら、私ら、押し問答で日付が変わってもやりあってた

やっぱり、お前、痺れるほど手ごたえあるヤツだ

恋人できて、てっきり腑抜けになったかと思ってたけど

まあ、それはそれとして、状況は刻々変わっててさ

三角関係になってんだからな、私ら3人、すでに

ただ、そこらのありふれた”それ”とは、だいぶ違うかな

夏が終わるまでに、まだ、展開あると思うからさ

へへへ…







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