恋人たちの疵夏ーキヅナツー

二人以外の集まり

二人以外の集まり




「ああ…、絵美、薫!」

「陽子、遅くなってゴメン…」

「ううん…。でもみんな揃ってるから、中へ入ってて。私も”一服”済んだら戻るから…」

「了解…!」(薫&絵美)


***


「全く…。陽子、ますますヤニに嵌ってるじゃん。千葉ん時もさ、煙臭いったらなかったしさあ…」

「ハハハ…、薫、民宿で鼻塞いでたもんね。布団かぶって。おけい、それ横目で見て、あのセリフだったわね(苦笑)」

「ああ…。陽子、次の日から私らの前でスパスパやめたしね。おけいは凄いよ…、なにしろさ。私ら友達同士の仲は全然おかしくしないで、陽子をバシッとシメてさ…」

「そうね。彼女しかできない芸当よね」

「うん、あれ、おけいにしか言えないわ(笑)」


***


「…”陽子、私ら中学時代からのマブっ子仲間でうまくやってきてるんだからさ。法律破る姿はさ、みんなの前以外で頼むよ。薫、メチャクチャ目をつぶってるじゃん。法律破った姿見たくないんだよ、中坊時代からの仲間のさ…”だったね、あの時の口上は」

「うん。布団に頭半ば突っ込んでケムリ避けてた私、あのおけいの弁、暗がりで聞いてて目が点になってたよ。だって、私、陽子なんかの違法行為に目を伏せてたんじゃないもの」

「うん、そうだよね(苦笑)。薫はタバコの煙NGだっただけだったもんね。でもねえ…、おけい、法律を破ってタバコ吸ってる陽子にだけじゃなくてさ、私ら”友達”全員に向けてだもんね…。私ら、陽子への不快感は誰もが抱いていたけど、口には出さなかった。私も薫も…」

「そうだよ。そんな私らに対しても、おけいはちゃんと友情のムチをね…。クスクス顔しながらでね…。おけいはエライ!」


***


「ふう…、でも今日は彼女だけいないんだよね…。千葉の海に行ったメンバーで、おけいだけさ…」

「それでさ、”あっち”はどうなんだろう…。全員かな?…、”あの人”来てるのかしら、ここに…」

「ああ、蚊取り線香持ってナンパしてきた人…。ええと…、どうかな…」

「うん、たしかアキラさんって人…」

(絵美と薫、ファミレスの店内に入る)





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