少女達の青春群像 ~舞、その愛~
いったいいつになったら逃げる日々から解放されるのだろう。
2人は今日も中葉から逃げる為に急いで学校を出た。焼却炉の前や宮内駅でゆっくりしてはいるが、そろそろグループのみんなと放課後に教室でのんびりおしゃべりしたい。
既にぐったりしながらも足早に進んでいると、またもや川崎と合流した。そのまま話をしながら駅へと向かう。川崎は見た目はクールな文学少年といった感じで近寄りがたいのだが、2人と話している時は年相応の少年といった感じになるのだ。
この日も『ヌラリンが来た!』と嘘を吐き、慌てる2人を見て楽しんでいた。教室で見る姿とは偉い違いである。
2人、2人とつけてはいるが、はっきり言うと川崎は響歌の方を面白がっている。話しかけるのも響歌に対してだ。舞の方に話しかけたことは、舞が覚えている限り最近では無い。そんな経験は1年の時の『空が青いな』と言った時まで遡ってしまう。しかもその時も、響歌に対するような笑顔は無かった。
中葉や橋本の影に隠れてはいたが、川崎も1年の時は響歌とよく接触していた。橋本と一緒に、響歌のことを彼女が何故か極度に嫌がる『響歌ちゃん』呼びしたり、からかってもいた。
それなのに、私には未だに話しかけてくれないし、『今井さん』としか呼んでくれないの!
私だけではないわ。テツヤ君って、響ちゃん以外の女子と話しているところを見たことが無いから、どうにも気になるのよね。
もしかしてテツヤ君…響ちゃんのことが好きなんじゃないの?
1年の頃から薄々感じてはいたけど、やっぱり怪しい…って、私ってば、テツヤ君が誰を好きでもいいじゃない。
テツヤ君と私の運命の赤い鎖はとっくに切れてしまっているのに、なんでこんな風に思ってしまうの。
…でも、やっぱりカッコイイのよ。
舞の心は大部分が川崎の方に戻っていた。だからこそ中葉にあれだけ言い寄られても、鬱陶しく感じるだけで同情もしないのだ。
女心と秋の空とはよく言ったものである。
そんなことを延々と考えている舞の前では、未だに響歌と川崎が話していた。今日は一緒に電車にも乗り、そこでも話している。話題は哀しいかな、もっぱら中葉のことではあったのだが。
この間、歩がいとこの子達からアドバイスをもらったのだが、そのアドバイスというのが『舞に新たな彼氏ができたらさすがに中葉も諦めるだろう』といったものだった。
そう簡単に彼氏ができたら誰だって苦労しないのだが、それでもそれが最も効果があるだろう。しかも同じ学校だったら尚良し!らしい。
今はそんなことを2人で話していた。
「まぁ、そうだろうな。オレがそのいとこでも、そうアドバイスするな」
「やっぱり川崎君もそう思うんだ。だったらさ、この子の彼氏になってあげる気ない?」
何気なく聞いていれば、響ちゃんってば、な、な、な、なんていうことをテツヤ君に勧めているの!
舞は焦り、慌てたが、そんな舞とは違って川崎は冷静だった。
「遠慮しておくわ」
しかもあっさりと断られてしまった!
「えっー、そんなことを言わずに彼氏になってやってよ。ほら、川崎君だと同じ経済科なのもあってヌラリンのダメージも相当大きいと思うのよね。それに同じクラスだから、いつでもヌラリンの魔の手から守ってあげられるでしょ」
そういったことを響歌は話していたが、これ以降はショックが大き過ぎて耳に入ってこなかった。
結局、舞が正気に戻ったのは宮内駅に着いて川崎と別れた後だった。
2人は今日も中葉から逃げる為に急いで学校を出た。焼却炉の前や宮内駅でゆっくりしてはいるが、そろそろグループのみんなと放課後に教室でのんびりおしゃべりしたい。
既にぐったりしながらも足早に進んでいると、またもや川崎と合流した。そのまま話をしながら駅へと向かう。川崎は見た目はクールな文学少年といった感じで近寄りがたいのだが、2人と話している時は年相応の少年といった感じになるのだ。
この日も『ヌラリンが来た!』と嘘を吐き、慌てる2人を見て楽しんでいた。教室で見る姿とは偉い違いである。
2人、2人とつけてはいるが、はっきり言うと川崎は響歌の方を面白がっている。話しかけるのも響歌に対してだ。舞の方に話しかけたことは、舞が覚えている限り最近では無い。そんな経験は1年の時の『空が青いな』と言った時まで遡ってしまう。しかもその時も、響歌に対するような笑顔は無かった。
中葉や橋本の影に隠れてはいたが、川崎も1年の時は響歌とよく接触していた。橋本と一緒に、響歌のことを彼女が何故か極度に嫌がる『響歌ちゃん』呼びしたり、からかってもいた。
それなのに、私には未だに話しかけてくれないし、『今井さん』としか呼んでくれないの!
私だけではないわ。テツヤ君って、響ちゃん以外の女子と話しているところを見たことが無いから、どうにも気になるのよね。
もしかしてテツヤ君…響ちゃんのことが好きなんじゃないの?
1年の頃から薄々感じてはいたけど、やっぱり怪しい…って、私ってば、テツヤ君が誰を好きでもいいじゃない。
テツヤ君と私の運命の赤い鎖はとっくに切れてしまっているのに、なんでこんな風に思ってしまうの。
…でも、やっぱりカッコイイのよ。
舞の心は大部分が川崎の方に戻っていた。だからこそ中葉にあれだけ言い寄られても、鬱陶しく感じるだけで同情もしないのだ。
女心と秋の空とはよく言ったものである。
そんなことを延々と考えている舞の前では、未だに響歌と川崎が話していた。今日は一緒に電車にも乗り、そこでも話している。話題は哀しいかな、もっぱら中葉のことではあったのだが。
この間、歩がいとこの子達からアドバイスをもらったのだが、そのアドバイスというのが『舞に新たな彼氏ができたらさすがに中葉も諦めるだろう』といったものだった。
そう簡単に彼氏ができたら誰だって苦労しないのだが、それでもそれが最も効果があるだろう。しかも同じ学校だったら尚良し!らしい。
今はそんなことを2人で話していた。
「まぁ、そうだろうな。オレがそのいとこでも、そうアドバイスするな」
「やっぱり川崎君もそう思うんだ。だったらさ、この子の彼氏になってあげる気ない?」
何気なく聞いていれば、響ちゃんってば、な、な、な、なんていうことをテツヤ君に勧めているの!
舞は焦り、慌てたが、そんな舞とは違って川崎は冷静だった。
「遠慮しておくわ」
しかもあっさりと断られてしまった!
「えっー、そんなことを言わずに彼氏になってやってよ。ほら、川崎君だと同じ経済科なのもあってヌラリンのダメージも相当大きいと思うのよね。それに同じクラスだから、いつでもヌラリンの魔の手から守ってあげられるでしょ」
そういったことを響歌は話していたが、これ以降はショックが大き過ぎて耳に入ってこなかった。
結局、舞が正気に戻ったのは宮内駅に着いて川崎と別れた後だった。