少女達の青春群像 ~舞、その愛~
変化した日常
文化祭も無事終了して、再び静かな学園生活に戻った。
…そのはずだった。
それなのに!
「響歌ちゃーん」
「あっ、響ちゃん。あのさぁ…」
実際は全然違っていた。
中葉と橋本が、放課後になると舞達のところに来るようになったのだ。
舞達とはいっても、主に響歌目当てだということがそのセリフからわかる。だからだろう、紗智達は遠慮してすぐ帰るようになってしまった。
舞も紗智達に着いていきたいところなのだが、いつも響歌と一緒に登下校しているし、ここで紗智達の方に行ってしまうと後で響歌に何をされるかわからない。その精神的な重圧に加えて、彼らが自分の席を立つと同時に響歌の手に腕を掴まれてしまう。
響歌は舞が逃げるのを察して、逃げないようにしていたのだ。
こんな状態で逃げられるわけがない。
だから仕方なく、皆の注目の中(男子の数は少ないので、こういうことがあると自然に目立ってしまう)、響歌と共に中葉と橋本を迎えていた。
だが、彼らがここに来だしてから既に2カ月が経過している。
こんな状態がずっと続いている!
たまにならいいが、こうも毎日だとさすがにうんざりしてしまうではないか。
後ろの席にいる響歌の方をチラッと見ると、彼女も自分と同じことを思っているような感じだったが、響歌はその感情をすぐに消して彼らに向かった。
「中葉君と橋本君じゃない。今日はどうしたの?」
「あぁ、たいしたことじゃないんだけど…」
たいしたことじゃないなら、来るな!
そう怒鳴りたい彼女達だったが、舞の性格は相変わらずの二重人格だったし、響歌もあまりいざこざは起こしたくなかったので口にはしなかった。
そんな彼女達の心境なんて露知らずの彼らは、当然のように響歌達の隣の席に座る。彼らが座った席は本来紗智と真子の席なのだが、彼女達の姿は既に無かったのでもちろん空席だった。
「今日も、河合さん達はすぐに帰ったのか」
そうなのよぉ、さっちゃん達の裏切り者!
「うん、なんか用事があるんだって」
そんなの嘘に決まっているんだけどね!
「用事なら仕方がないけど、たまにはゆっくりしていってもいいのになぁ」
あんた達が来なければ、さっちゃん達もゆっくりしているはずなんだけど!
「そうよねぇ、たまには残って、ゆっくりと話したいよね」
あんた達抜きでね!
「確かにそうだよなぁ。いつも先に帰るから、なんだかオレ達が帰らせているみたいに思えるよ」
実際、そ・う・な・ん・だ・け・ど!
「そんなことないって。気にしなくていいんじゃない?」
そんなことあるって!
「そうかぁ、それだといいんだけどな」
良くないだろう!
ちなみに会話をしているのは響歌と中葉。橋本はその傍でヘラヘラ笑っている。
舞は…というと、心の中での鋭い突っ込みだ。
だいたいいつもこんな感じだった。
「ムッチーってば、また赤い顔してプルプル震えちゃって。何、テレているのよ?」
会話に加わろうとしない舞を、響歌が無理矢理会話に加わらせる光景もいつもと同じだ。
「ムッチーは今日も面白いなぁ」
中葉が笑い出した。
「おい、あまり今井さんをいじめてやるなよ」
橋本も笑いながら響歌に口を出してくる。
「だって、時々舞台に引きずり上げないと、この子ってば、黙ったままなんだもの」
「いや…響ちゃん、私は黒子で十分だから…」
「何、言っているの。ムッチーは味のあるキャラクターなんだから、みんなにもっと知ってもらうべきよ。黒子役で十分だなんて、冗談は止めてよね」
「本当に、響ちゃんとムッチーは仲がいいなぁ」
中葉の言葉に、橋本は笑って頷いた。
「まったくだ」
…そのはずだった。
それなのに!
「響歌ちゃーん」
「あっ、響ちゃん。あのさぁ…」
実際は全然違っていた。
中葉と橋本が、放課後になると舞達のところに来るようになったのだ。
舞達とはいっても、主に響歌目当てだということがそのセリフからわかる。だからだろう、紗智達は遠慮してすぐ帰るようになってしまった。
舞も紗智達に着いていきたいところなのだが、いつも響歌と一緒に登下校しているし、ここで紗智達の方に行ってしまうと後で響歌に何をされるかわからない。その精神的な重圧に加えて、彼らが自分の席を立つと同時に響歌の手に腕を掴まれてしまう。
響歌は舞が逃げるのを察して、逃げないようにしていたのだ。
こんな状態で逃げられるわけがない。
だから仕方なく、皆の注目の中(男子の数は少ないので、こういうことがあると自然に目立ってしまう)、響歌と共に中葉と橋本を迎えていた。
だが、彼らがここに来だしてから既に2カ月が経過している。
こんな状態がずっと続いている!
たまにならいいが、こうも毎日だとさすがにうんざりしてしまうではないか。
後ろの席にいる響歌の方をチラッと見ると、彼女も自分と同じことを思っているような感じだったが、響歌はその感情をすぐに消して彼らに向かった。
「中葉君と橋本君じゃない。今日はどうしたの?」
「あぁ、たいしたことじゃないんだけど…」
たいしたことじゃないなら、来るな!
そう怒鳴りたい彼女達だったが、舞の性格は相変わらずの二重人格だったし、響歌もあまりいざこざは起こしたくなかったので口にはしなかった。
そんな彼女達の心境なんて露知らずの彼らは、当然のように響歌達の隣の席に座る。彼らが座った席は本来紗智と真子の席なのだが、彼女達の姿は既に無かったのでもちろん空席だった。
「今日も、河合さん達はすぐに帰ったのか」
そうなのよぉ、さっちゃん達の裏切り者!
「うん、なんか用事があるんだって」
そんなの嘘に決まっているんだけどね!
「用事なら仕方がないけど、たまにはゆっくりしていってもいいのになぁ」
あんた達が来なければ、さっちゃん達もゆっくりしているはずなんだけど!
「そうよねぇ、たまには残って、ゆっくりと話したいよね」
あんた達抜きでね!
「確かにそうだよなぁ。いつも先に帰るから、なんだかオレ達が帰らせているみたいに思えるよ」
実際、そ・う・な・ん・だ・け・ど!
「そんなことないって。気にしなくていいんじゃない?」
そんなことあるって!
「そうかぁ、それだといいんだけどな」
良くないだろう!
ちなみに会話をしているのは響歌と中葉。橋本はその傍でヘラヘラ笑っている。
舞は…というと、心の中での鋭い突っ込みだ。
だいたいいつもこんな感じだった。
「ムッチーってば、また赤い顔してプルプル震えちゃって。何、テレているのよ?」
会話に加わろうとしない舞を、響歌が無理矢理会話に加わらせる光景もいつもと同じだ。
「ムッチーは今日も面白いなぁ」
中葉が笑い出した。
「おい、あまり今井さんをいじめてやるなよ」
橋本も笑いながら響歌に口を出してくる。
「だって、時々舞台に引きずり上げないと、この子ってば、黙ったままなんだもの」
「いや…響ちゃん、私は黒子で十分だから…」
「何、言っているの。ムッチーは味のあるキャラクターなんだから、みんなにもっと知ってもらうべきよ。黒子役で十分だなんて、冗談は止めてよね」
「本当に、響ちゃんとムッチーは仲がいいなぁ」
中葉の言葉に、橋本は笑って頷いた。
「まったくだ」