少女達の青春群像 ~舞、その愛~
「まぁ、こんな感じで、色々話していくうちに…ね」
響歌の話を聞いた4人は顔を見合わせた。
あれ、それだったら、なんで黒崎君の方になるの?
口に出さずとも、4人は同じ疑問を抱いた。
「響ちゃん、質問があります」
皆を代表するかのように、舞が手を挙げた。
「何よ、ムッチー」
「その話だと、響ちゃんは山田君ととても仲が良さそうなのですが。もちろんバイトという共通の話題があるからなのかもしれないけどさ。それならどうして山田君じゃなくて黒崎君の方を好きになったの?って、私は思うのですよ」
質問を声に出してしていない皆も、うんうんと頷いて同意している。
「今話したのは一部だけだからね。彼らとはそれ以上に話をしているの。そのせいで私まで先生に目をつけられて注意されるようになってしまったわよ。あの2人って、声が大きいからさ」
…いや、きっと響ちゃんの声も大きかったんだよ。
4人は同じことを心の中で思ってしまった。
もちろんそのことを口に出す勇敢な者などこの場にいない。だから響歌は、それに気づかずに話を続けた。
「夏休みの講習の時も、黒崎君に捕まって何故か彼の助手のようなことをさせられたし…」
「助手って、何の?」
すかさず紗智が訊くと、響歌が大きく溜息を吐いた。あの時の苦労を思い出したのだ。
「私が正しいプログラムを読んでいって、黒崎君がモニターに映っているプログラムを確認していたのよ。どうしてもエラーの場所が見つからなかったから」
プログラムを読んでいくのはかなり時間がかかるはずだ。しかもそれがエラーの場所を探す為にしているのだから普段よりも倍はかかるだろう。
ということはその間、響ちゃんはずっと黒崎君と一緒だったというわけで…
「ちょっと、そんなにニヤニヤしないでよ」
響歌が嫌そうに舞を見た。
そんな目で見られても、舞はまったく気にならなかった。むしろ益々ニヤケてしまう。
「響ちゃんってば、私達に内緒で青春していたんだからぁ。じゃあ、そういったことがきっかけで黒崎君に恋をしたんだね。山田君では顔的に役不足だと、そうも思ったんだね」
「それじゃ、思考が山田君と一緒になってしまうじゃない。そうじゃなくて、自然にそうなってしまったのよ。そもそも私的には、好きになるのなら山田君の方がいいなって思っていたんだから」
それなのに黒崎君の方を好きになってしまった。
あ~あ、こんなはずじゃなかったのになぁ。
「え、なんでまた好きになるのなら山田君の方って思ったの?」
「だって、登下校が一緒になるじゃない」
「それだけの理由で?」
紗智に顔を覗き込まれて、響歌は困ったように頷いた。
「いや、やっぱり私には遠距離は向かないと思うから。それに山田君と話していると楽しかったし、黒崎君は女の子にモテそうだし…」
それはそうかもしれないけど…どうもしっくりこない。
4人は再び顔を見合わせた。
「なんで遠距離が向かないって思うの?そんなの、つき合ってみないとわからないでしょ。そりゃ、確かに黒崎君は女たらしと言われるくらい色んな女の子と仲がいいから、つき合うとなると心配事がたくさん出てきそうだけど…」
歩の言葉に、響歌は言いにくそうに口を開いた。
「…実はこの夏、遠距離で彼氏と別れていて…」
『えぇっっーーーー!』
4人のハモリが店内に響き渡った。
さっきから絶叫のオンパレードだったが、彼女達がこの日一番驚いたのがこの瞬間だった。
「んもうっ、水臭い、水臭い、水臭い。こんな大事件、なんで言ってくれなかったの!」
舞は顔を真っ赤にして怒っている。
もう我慢の限界よ。響ちゃんがこんなにも秘密主義だったなんて!
「だから言うタイミングが無かったんだって。しかも喧嘩別れのような感じだったから、余計に言いにくかったのよ」
響歌は今も言いにくそうだった。
そんな彼女をフォローしたのは、一番穏やかな真子だった。
「まぁ、まぁ。ムッチーも、もういいじゃない。ずっと言ってくれなかったのなら私もいい気分はしなかっただろうけど、響ちゃんは話してくれたんだから。私だって、今まで言えなかったんだしさ。お互い様だよ」
「そうだね。まだ私も言っていないし、こういうのは仕方がないよ」
「そう、そう。それに今はそのことがメインじゃないんだから。終わったことをグチグチと言うのは止めようよ」
真子の言葉に、紗智と歩が続けて同意した。
そんな彼女達を見て、舞は1人で怒っている自分がバカらしくなった。
「まぁ、みんながいいのなら、私もそれでいいよ。でも、これからは隠し事はダメだからね、響ちゃん!」
「…了解」
響歌は舞の言葉に素直に従った。これまで黙っていたことに罪悪感を持っていたのだ。
舞は素直な態度の彼女を目にして、ようやくすべての怒りが消えたのだった。
「じゃあさ、その彼のことを含めて今までのことを教えてよ」
舞のこの言葉にも、響歌は素直に従った。
響歌の話を聞いた4人は顔を見合わせた。
あれ、それだったら、なんで黒崎君の方になるの?
口に出さずとも、4人は同じ疑問を抱いた。
「響ちゃん、質問があります」
皆を代表するかのように、舞が手を挙げた。
「何よ、ムッチー」
「その話だと、響ちゃんは山田君ととても仲が良さそうなのですが。もちろんバイトという共通の話題があるからなのかもしれないけどさ。それならどうして山田君じゃなくて黒崎君の方を好きになったの?って、私は思うのですよ」
質問を声に出してしていない皆も、うんうんと頷いて同意している。
「今話したのは一部だけだからね。彼らとはそれ以上に話をしているの。そのせいで私まで先生に目をつけられて注意されるようになってしまったわよ。あの2人って、声が大きいからさ」
…いや、きっと響ちゃんの声も大きかったんだよ。
4人は同じことを心の中で思ってしまった。
もちろんそのことを口に出す勇敢な者などこの場にいない。だから響歌は、それに気づかずに話を続けた。
「夏休みの講習の時も、黒崎君に捕まって何故か彼の助手のようなことをさせられたし…」
「助手って、何の?」
すかさず紗智が訊くと、響歌が大きく溜息を吐いた。あの時の苦労を思い出したのだ。
「私が正しいプログラムを読んでいって、黒崎君がモニターに映っているプログラムを確認していたのよ。どうしてもエラーの場所が見つからなかったから」
プログラムを読んでいくのはかなり時間がかかるはずだ。しかもそれがエラーの場所を探す為にしているのだから普段よりも倍はかかるだろう。
ということはその間、響ちゃんはずっと黒崎君と一緒だったというわけで…
「ちょっと、そんなにニヤニヤしないでよ」
響歌が嫌そうに舞を見た。
そんな目で見られても、舞はまったく気にならなかった。むしろ益々ニヤケてしまう。
「響ちゃんってば、私達に内緒で青春していたんだからぁ。じゃあ、そういったことがきっかけで黒崎君に恋をしたんだね。山田君では顔的に役不足だと、そうも思ったんだね」
「それじゃ、思考が山田君と一緒になってしまうじゃない。そうじゃなくて、自然にそうなってしまったのよ。そもそも私的には、好きになるのなら山田君の方がいいなって思っていたんだから」
それなのに黒崎君の方を好きになってしまった。
あ~あ、こんなはずじゃなかったのになぁ。
「え、なんでまた好きになるのなら山田君の方って思ったの?」
「だって、登下校が一緒になるじゃない」
「それだけの理由で?」
紗智に顔を覗き込まれて、響歌は困ったように頷いた。
「いや、やっぱり私には遠距離は向かないと思うから。それに山田君と話していると楽しかったし、黒崎君は女の子にモテそうだし…」
それはそうかもしれないけど…どうもしっくりこない。
4人は再び顔を見合わせた。
「なんで遠距離が向かないって思うの?そんなの、つき合ってみないとわからないでしょ。そりゃ、確かに黒崎君は女たらしと言われるくらい色んな女の子と仲がいいから、つき合うとなると心配事がたくさん出てきそうだけど…」
歩の言葉に、響歌は言いにくそうに口を開いた。
「…実はこの夏、遠距離で彼氏と別れていて…」
『えぇっっーーーー!』
4人のハモリが店内に響き渡った。
さっきから絶叫のオンパレードだったが、彼女達がこの日一番驚いたのがこの瞬間だった。
「んもうっ、水臭い、水臭い、水臭い。こんな大事件、なんで言ってくれなかったの!」
舞は顔を真っ赤にして怒っている。
もう我慢の限界よ。響ちゃんがこんなにも秘密主義だったなんて!
「だから言うタイミングが無かったんだって。しかも喧嘩別れのような感じだったから、余計に言いにくかったのよ」
響歌は今も言いにくそうだった。
そんな彼女をフォローしたのは、一番穏やかな真子だった。
「まぁ、まぁ。ムッチーも、もういいじゃない。ずっと言ってくれなかったのなら私もいい気分はしなかっただろうけど、響ちゃんは話してくれたんだから。私だって、今まで言えなかったんだしさ。お互い様だよ」
「そうだね。まだ私も言っていないし、こういうのは仕方がないよ」
「そう、そう。それに今はそのことがメインじゃないんだから。終わったことをグチグチと言うのは止めようよ」
真子の言葉に、紗智と歩が続けて同意した。
そんな彼女達を見て、舞は1人で怒っている自分がバカらしくなった。
「まぁ、みんながいいのなら、私もそれでいいよ。でも、これからは隠し事はダメだからね、響ちゃん!」
「…了解」
響歌は舞の言葉に素直に従った。これまで黙っていたことに罪悪感を持っていたのだ。
舞は素直な態度の彼女を目にして、ようやくすべての怒りが消えたのだった。
「じゃあさ、その彼のことを含めて今までのことを教えてよ」
舞のこの言葉にも、響歌は素直に従った。