少女達の青春群像 ~舞、その愛~
舞はすぐに響歌の異変に気づき、彼女が見ている方に目を向けた。
その瞬間、舞の表情も響歌の同じものに変わる。
「えぇっー!」
驚きのあまり大声まで出してしまった。
「ちょっと、ムッチー!」
響歌が慌てて舞を注意したが、もう遅い。舞の大声は車内に響き渡った。それを耳にした乗客の視線が舞と響歌に集まっている。
その中の2人が彼女達の方へと歩いてきた。
えっ、えっ、どうしよう、こっちに来ちゃうよ。
舞が助けを求めるように響歌の方を見ると、なんとあの響歌が石像化していた!
…響ちゃんでも石像になるんだ。
舞は感心したが、響歌の状況を考えるとそれは当たり前なのかもしれない。視線の先には、夏から響歌が恋焦がれている黒崎と、響歌のことを気に入っているかもしれない、その上、歩の予想ではもしかしたら響歌が黒崎から転ぶかもしれないという橋本がいたのだから。
しかもここは学校外。さっきまで暴露大会をしていたので恋心もハイな状態になっている。さすがの響歌も突然過ぎる出来事に硬直するしかないのだろう。
あぁ、是非ともこのシーンを画像に収めたい!
舞は心の底からそう思ったが、さすがに今ここでスマホを響歌に向ける勇気は無い。
せめて私と響ちゃんの位置が5メートルでも離れていれば躊躇なく撮っているのに!
石像化する響ちゃんなんて、もう一生見ることができないかもしれないのに!
残念でたまらないよ。さっちゃん達にも見せてあげたかったのになぁ。
しきりに悔しがっている舞の隣では、響歌がまだ石像になっていた。
響ちゃんってば、どうするつもりなんだろう。あと少しで2人がここに来てしまうのに。
今は響ちゃんだけが頼りなのに!
「やぁ、葉月さんに、今井さん」
ここにやってきた黒崎が彼女達に声をかけた。
橋本の方もいつもの調子で話しかけてくる。
「お前ら、本当に仲がいいよな。休みの日まで一緒にいるのかよ」
男性2人に声をかけられて、今度は舞が硬直した。
それとは反対に、響歌の方は解除されて笑顔になった。
「そういうあんた達の方は、少し珍しい組み合わせよね。今日はどうしたのよ。いつものパートナーには内緒でデートでもしていたの?」
響歌の言葉に、2人は嫌そうな顔をした。
「デートしていたのは葉月さん達の方だろ。オレ達はさっきまで中葉達とも一緒だったんだ」
「私達だって、ずっと2人でいたわけじゃないわよ。朝から駅前でさっちゃん達と遊んでいたんだから」
「へぇ、オレ達もその付近にずっといたんだけどな。駅前も狭いのに会わないものなんだな。まぁ、今会ってしまったんだから、縁があるのか無いのかよくわからないが…」
橋本の言葉に、響歌は苦笑いをした。
駅前にいたとはいえ、彼女達は路地裏の喫茶店でずっと話し込んでいた。店側からすると、とても迷惑なことに5時間滞在していた。こんなことなら少し足をのばしてファミレスに行っておけば良かったかもしれないと後で思ったくらいだ。
こんな自分達を探し出そうとしたとしても見つからないまま終わっただろう。偶然会うことなんて、確率で言うと1%くらいのものだったのではないだろうか。
そんなことを響歌が思っていると、黒崎が思い出したように響歌に訊いた。
「そういえば葉月さんって、中葉とつき合っているの?」
その瞬間、響歌の表情が凍りついた。
その瞬間、舞の表情も響歌の同じものに変わる。
「えぇっー!」
驚きのあまり大声まで出してしまった。
「ちょっと、ムッチー!」
響歌が慌てて舞を注意したが、もう遅い。舞の大声は車内に響き渡った。それを耳にした乗客の視線が舞と響歌に集まっている。
その中の2人が彼女達の方へと歩いてきた。
えっ、えっ、どうしよう、こっちに来ちゃうよ。
舞が助けを求めるように響歌の方を見ると、なんとあの響歌が石像化していた!
…響ちゃんでも石像になるんだ。
舞は感心したが、響歌の状況を考えるとそれは当たり前なのかもしれない。視線の先には、夏から響歌が恋焦がれている黒崎と、響歌のことを気に入っているかもしれない、その上、歩の予想ではもしかしたら響歌が黒崎から転ぶかもしれないという橋本がいたのだから。
しかもここは学校外。さっきまで暴露大会をしていたので恋心もハイな状態になっている。さすがの響歌も突然過ぎる出来事に硬直するしかないのだろう。
あぁ、是非ともこのシーンを画像に収めたい!
舞は心の底からそう思ったが、さすがに今ここでスマホを響歌に向ける勇気は無い。
せめて私と響ちゃんの位置が5メートルでも離れていれば躊躇なく撮っているのに!
石像化する響ちゃんなんて、もう一生見ることができないかもしれないのに!
残念でたまらないよ。さっちゃん達にも見せてあげたかったのになぁ。
しきりに悔しがっている舞の隣では、響歌がまだ石像になっていた。
響ちゃんってば、どうするつもりなんだろう。あと少しで2人がここに来てしまうのに。
今は響ちゃんだけが頼りなのに!
「やぁ、葉月さんに、今井さん」
ここにやってきた黒崎が彼女達に声をかけた。
橋本の方もいつもの調子で話しかけてくる。
「お前ら、本当に仲がいいよな。休みの日まで一緒にいるのかよ」
男性2人に声をかけられて、今度は舞が硬直した。
それとは反対に、響歌の方は解除されて笑顔になった。
「そういうあんた達の方は、少し珍しい組み合わせよね。今日はどうしたのよ。いつものパートナーには内緒でデートでもしていたの?」
響歌の言葉に、2人は嫌そうな顔をした。
「デートしていたのは葉月さん達の方だろ。オレ達はさっきまで中葉達とも一緒だったんだ」
「私達だって、ずっと2人でいたわけじゃないわよ。朝から駅前でさっちゃん達と遊んでいたんだから」
「へぇ、オレ達もその付近にずっといたんだけどな。駅前も狭いのに会わないものなんだな。まぁ、今会ってしまったんだから、縁があるのか無いのかよくわからないが…」
橋本の言葉に、響歌は苦笑いをした。
駅前にいたとはいえ、彼女達は路地裏の喫茶店でずっと話し込んでいた。店側からすると、とても迷惑なことに5時間滞在していた。こんなことなら少し足をのばしてファミレスに行っておけば良かったかもしれないと後で思ったくらいだ。
こんな自分達を探し出そうとしたとしても見つからないまま終わっただろう。偶然会うことなんて、確率で言うと1%くらいのものだったのではないだろうか。
そんなことを響歌が思っていると、黒崎が思い出したように響歌に訊いた。
「そういえば葉月さんって、中葉とつき合っているの?」
その瞬間、響歌の表情が凍りついた。