少女達の青春群像           ~舞、その愛~
 事件は昼休みにやってきた。

「失敗したよ、ムッチー」

 教室に飛び込むようにして入ってきた中葉は、響歌達と一緒にいた舞のところに来るなりそう言った。

 いつものんびりしている中葉にしては珍しく慌てている姿に、舞は緊張する。一緒にいる響歌達は不審そうに2人を見ていた。

「取り敢えずここじゃあれだから、廊下へ来て。あっ、響ちゃんも一緒に」

「私も?」

「うん、ムッチーも早く来て」

 中葉はそう言うと、教室から出て行った。

 と、とにかく響ちゃんと一緒に中葉君を追いかけないと!

「というわけだから、みんな行ってくるね」

 舞は3人にそう言うと、行きたくなさそうな響歌の腕を引っ張って中葉を追いかけた。 

 2階の渡り廊下に中葉の姿が見える。

 舞は超特急でそこに向かっていった。
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