少女達の青春群像           ~舞、その愛~
 担任は教壇に戻ると、黒板に自分の名前らしき文字を書いた。

「僕の名前は『ショウモリ マサヒロ』と言います。『コモリ』じゃありませんから。間違えないようにして下さいね」

 ふんだ、何がショーモリよ。ビーバーっていう名前の方が、あんたにはお似合いよ。

 担任である小森は簡単に自己紹介をすると、この学校について延々と述べ始めた。

 舞はずっとビーバーを見ているのも嫌だったので、教室内を見渡してみた。

 この学校は共学のはずなのに、経済科のせいなのか女子高かと思うくらい女子生徒の数が多かった。女子生徒35人に対して5人しか男子生徒がいない。

 噂には聞いていたけど、本当に少ないわね。

 これって何故なのかしら。普通科だったら、男子の数の方が多いくらいなのに。

 これじゃあ、他の女子の人達、拍子抜けしたでしょうね。可哀そう。

 ま、私の場合は、あの御方のお陰で、高校生活は薔薇色そのものだけど!

 それにしても…いくら少ないとはいえ、あの御方以外の男子って全然イケてないわねぇ。

 特に窓側から2列目の後ろの方に座っている男子って、見るからにオタクっぽいわよ。

 教室の真ん中くらいに座っている人も、ただ者ではないっていう感じだし…

 あっ、見逃していたけど、その前の前に座っている男子はまぁまぁいけるかもしれない。

 ま、私の趣味ではないけどね。

 あとは…平凡そのものねぇ。メガネオタクの近くに座っているから余計にそう見えるのかもしれないけど、必ずクラスに1人はいる典型的な脇役って感じがするわ。

 舞は自分のことを棚に上げて勝手な評価をしていた。

 しかしやはり最後に行きつくところは、あの愛しの君である。

 あぁ、本当に幸せ。

 これからあの御方と一緒に青春の1ページが送れるなんて。

 いったいどんなハッピーエンドの物語になるのかしら。ドキドキしちゃう。

 …いらないビーバーは付いているけどね。
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