少女達の青春群像 ~舞、その愛~
舞の話した内容は、他の3人にとっては驚くべきことだった。黒崎が加藤に気があるとさえ思ってもみなかったのだ。
それなのに…
「響ちゃん、大丈夫?」
歩が心配そうに響歌の顔を見る。
他の2人も歩と同じ顔つきだ。
そんなみんなに、響歌が微笑んだ。
「私は大丈夫だよ。黒崎君の言葉を聞いた時はやっぱりショックだったけど、今は数日経っているから落ち着いてきた。それに黒崎君が誰とつき合っても、黒崎君は黒崎君なんだから。あの人が笑顔でいてくれるなら、私はそれだけで十分かな。だいたい黒崎君に関しては、最初から自分とつき合って欲しいっていった、大きな望みはあまり無かったんだよね。だからあの人が幸せなら、私はそれでいいよ」
響ちゃんってば、なんて健気なの!
それなのに私ってば、中葉君のことで浮かれまくるなんて。
もう、本当に響ちゃんに申し訳ないわ!
舞は泣きそうになった。他の3人も同様だった。
しんみりとした空気がこの場に流れる。
そんな4人を前にして焦ったのは響歌だ。
「な、何でみんな揃って暗い表情をしているのよ。お弁当にもまだ手をつけていないじゃない。私のことはいいから、早く食べよう。ムッチーにも念願の彼氏ができたし、その話でも聞きながら、ね?」
響歌は弁当を食べるよう勧めたが、みんなは余計に切なくなってきて食欲が無くなってしまった。
舞もそんな気分だったが、みんなと共にしんみりできる立場ではない。もう一つ、言わなくてはいけないことがあるのだ。
話しにくいことではあるが、黙ったままでもいられない。響歌には真実を知っていて欲しい。
「あのね、しんみりしているところに水を差すようで悪いんだけど。これから先は響ちゃんも知らないことなんだけど…ね」
「何よ、ムッチー。言いにくければ言わなくてもいいわよ」
「えっ、そうなの?」
響歌に出鼻をくじかれてしまい、余計話しにくくなってしまった。
って、ダメよ、ダメ。ここで引き下がったら絶対にダメ。
「いや、これは言わなくてはいけないことだから。響ちゃんがいくら止めても、私は言う!」
「そんなに気合を入れて宣言しなくてもいいわよ。じゃあ、なんだっていうのよ?」
「加藤さんって、本当は高尾君のことが好きみたいなの。でも、黒崎君の告白を断れなくてつき合うことにしたんだって」
「えっ、高尾君?」
舞の言葉にすぐ反応したのは、響歌ではなくて真子だった。
しまったぁ、これってやっぱり言ってはいけないことだった?
そういえば、加藤さんが本当に高尾君のことを好きなら、まっちゃんとはライバルになってしまうのよ。
他の3人からの視線がとても痛い。
「あ…いや…あの…その…」
舞はなんとか誤魔化そうとしたが、いい言葉が思いつかない。
「言ってしまったんだから、もう仕方がないでしょ。それにムッチーが言っても言わなくても、その事実は変わらないんだから。それだったら本人の為にも言った方がいいのよ。まっちゃんもそんなに動揺しない。加藤さんが本当に高尾君のことが好きだったとしても、今は黒崎君とつき合っているんだから。その間に、まっちゃんは高尾君にアピールしていけばいいの。つき合っているうちに、加藤さんは高尾君への想いが冷めて黒崎君に惹かれるかもしれないんだしさ。あっ、響ちゃんには悪いんだけど…」
紗智は真子を励ましたが、響歌のことを思い出して口を噤む。
「でも、高尾君のことを好きなのに、黒崎君のことが断れなくてつき合うのって、黒崎君が可哀想だよ。それに同情心だけで黒崎君とつき合っているのなら、すぐに別れると思うな」
さすがは歩ちゃん、鋭い分析だわ。
それにそれだったら、響ちゃんにもまだまだチャンスがあるのよ。
あ~、歩ちゃんの分析が当たればいいのに!
まっちゃんには悪いんだけど、まっちゃんの恋は既に絶望的だからなぁ。
それに比べて、響ちゃんにはまだ可能性が残されているもんね。しかも健気だし!
こんな響ちゃんを前にしたら、黒崎君だってイチコロだよ。
舞は喜んでいたが、当の響歌は複雑そうだ。
「どうしたの、響ちゃん。嬉しくないの?」
「そう、だね。もし本当に歩ちゃんの言う通りになったら、黒崎君が可哀想だなと思って。あんなにも嬉しそうな黒崎君を見たのは初めてだったから。なんとか上手くやっていって欲しいよ。真子の為にも、ね」
響歌はそう言うと、真子に視線を向けた。
響歌につられて、舞達も真子を見た。真子はまだ動揺中らしく、みんなに見られていることにまったく気づいていない。
加藤さんが高尾君のことを好きだということがわかっただけなのに、こんなに動揺するなんて。
響ちゃんの方が辛い立場なのに、その響ちゃんの方がまっちゃんを気遣っているのよ。
もう、これ以上泣かせないでよ、響ちゃん!
「響ちゃんも、まだ頑張ってよ。黒崎君を想っていない人に取られたままでもいいの?負けてちゃダメだよ。絶対に響ちゃんの方が黒崎君に似合っているんだから!」
舞は興奮して涙目になっている。
「もう、泣かないでよ、ムッチー。私のことはいいんだから。私も今は落ち着いてきたし、ムッチーは彼氏のことを考えてあげて。今日の放課後も彼と一緒に帰るんでしょ。せっかくだし、週末のデートの約束でもしておいたら?」
舞の両目から涙が止まった。
…そうだ、デートよ。
あぁ、憧れの初デート。なんて素敵な響きなんでしょう!
そうよね、恋人同士なんだもの。デートくらいはして当たり前だよね。
早速、中葉君と計画を練らなくっちゃ。
どこに行こうかしら、本当に楽しみよ。
どんよりとした空気の中、舞だけがご機嫌で鼻歌を歌っていた。
それなのに…
「響ちゃん、大丈夫?」
歩が心配そうに響歌の顔を見る。
他の2人も歩と同じ顔つきだ。
そんなみんなに、響歌が微笑んだ。
「私は大丈夫だよ。黒崎君の言葉を聞いた時はやっぱりショックだったけど、今は数日経っているから落ち着いてきた。それに黒崎君が誰とつき合っても、黒崎君は黒崎君なんだから。あの人が笑顔でいてくれるなら、私はそれだけで十分かな。だいたい黒崎君に関しては、最初から自分とつき合って欲しいっていった、大きな望みはあまり無かったんだよね。だからあの人が幸せなら、私はそれでいいよ」
響ちゃんってば、なんて健気なの!
それなのに私ってば、中葉君のことで浮かれまくるなんて。
もう、本当に響ちゃんに申し訳ないわ!
舞は泣きそうになった。他の3人も同様だった。
しんみりとした空気がこの場に流れる。
そんな4人を前にして焦ったのは響歌だ。
「な、何でみんな揃って暗い表情をしているのよ。お弁当にもまだ手をつけていないじゃない。私のことはいいから、早く食べよう。ムッチーにも念願の彼氏ができたし、その話でも聞きながら、ね?」
響歌は弁当を食べるよう勧めたが、みんなは余計に切なくなってきて食欲が無くなってしまった。
舞もそんな気分だったが、みんなと共にしんみりできる立場ではない。もう一つ、言わなくてはいけないことがあるのだ。
話しにくいことではあるが、黙ったままでもいられない。響歌には真実を知っていて欲しい。
「あのね、しんみりしているところに水を差すようで悪いんだけど。これから先は響ちゃんも知らないことなんだけど…ね」
「何よ、ムッチー。言いにくければ言わなくてもいいわよ」
「えっ、そうなの?」
響歌に出鼻をくじかれてしまい、余計話しにくくなってしまった。
って、ダメよ、ダメ。ここで引き下がったら絶対にダメ。
「いや、これは言わなくてはいけないことだから。響ちゃんがいくら止めても、私は言う!」
「そんなに気合を入れて宣言しなくてもいいわよ。じゃあ、なんだっていうのよ?」
「加藤さんって、本当は高尾君のことが好きみたいなの。でも、黒崎君の告白を断れなくてつき合うことにしたんだって」
「えっ、高尾君?」
舞の言葉にすぐ反応したのは、響歌ではなくて真子だった。
しまったぁ、これってやっぱり言ってはいけないことだった?
そういえば、加藤さんが本当に高尾君のことを好きなら、まっちゃんとはライバルになってしまうのよ。
他の3人からの視線がとても痛い。
「あ…いや…あの…その…」
舞はなんとか誤魔化そうとしたが、いい言葉が思いつかない。
「言ってしまったんだから、もう仕方がないでしょ。それにムッチーが言っても言わなくても、その事実は変わらないんだから。それだったら本人の為にも言った方がいいのよ。まっちゃんもそんなに動揺しない。加藤さんが本当に高尾君のことが好きだったとしても、今は黒崎君とつき合っているんだから。その間に、まっちゃんは高尾君にアピールしていけばいいの。つき合っているうちに、加藤さんは高尾君への想いが冷めて黒崎君に惹かれるかもしれないんだしさ。あっ、響ちゃんには悪いんだけど…」
紗智は真子を励ましたが、響歌のことを思い出して口を噤む。
「でも、高尾君のことを好きなのに、黒崎君のことが断れなくてつき合うのって、黒崎君が可哀想だよ。それに同情心だけで黒崎君とつき合っているのなら、すぐに別れると思うな」
さすがは歩ちゃん、鋭い分析だわ。
それにそれだったら、響ちゃんにもまだまだチャンスがあるのよ。
あ~、歩ちゃんの分析が当たればいいのに!
まっちゃんには悪いんだけど、まっちゃんの恋は既に絶望的だからなぁ。
それに比べて、響ちゃんにはまだ可能性が残されているもんね。しかも健気だし!
こんな響ちゃんを前にしたら、黒崎君だってイチコロだよ。
舞は喜んでいたが、当の響歌は複雑そうだ。
「どうしたの、響ちゃん。嬉しくないの?」
「そう、だね。もし本当に歩ちゃんの言う通りになったら、黒崎君が可哀想だなと思って。あんなにも嬉しそうな黒崎君を見たのは初めてだったから。なんとか上手くやっていって欲しいよ。真子の為にも、ね」
響歌はそう言うと、真子に視線を向けた。
響歌につられて、舞達も真子を見た。真子はまだ動揺中らしく、みんなに見られていることにまったく気づいていない。
加藤さんが高尾君のことを好きだということがわかっただけなのに、こんなに動揺するなんて。
響ちゃんの方が辛い立場なのに、その響ちゃんの方がまっちゃんを気遣っているのよ。
もう、これ以上泣かせないでよ、響ちゃん!
「響ちゃんも、まだ頑張ってよ。黒崎君を想っていない人に取られたままでもいいの?負けてちゃダメだよ。絶対に響ちゃんの方が黒崎君に似合っているんだから!」
舞は興奮して涙目になっている。
「もう、泣かないでよ、ムッチー。私のことはいいんだから。私も今は落ち着いてきたし、ムッチーは彼氏のことを考えてあげて。今日の放課後も彼と一緒に帰るんでしょ。せっかくだし、週末のデートの約束でもしておいたら?」
舞の両目から涙が止まった。
…そうだ、デートよ。
あぁ、憧れの初デート。なんて素敵な響きなんでしょう!
そうよね、恋人同士なんだもの。デートくらいはして当たり前だよね。
早速、中葉君と計画を練らなくっちゃ。
どこに行こうかしら、本当に楽しみよ。
どんよりとした空気の中、舞だけがご機嫌で鼻歌を歌っていた。