少女達の青春群像 ~舞、その愛~
橋本の家は仙田駅から徒歩15分くらいの場所にあった。道沿いに建っているし、周囲には橋本家の他に家が無い。今までは知らなかったが、電車からでも見えていたはずだ。
「橋本の家って、結構落ち着くところなんだなぁ」
中葉が舞に膝枕をしてもらいながらそんな感想を口にした。
中葉は平然としているが、舞はとても恥ずかしそうだ。
それもそのはずだ。この場には舞と中葉の2人だけがいるのではなく、響歌と橋本もいる。しかもその2人の視線をモロに感じているのだ。
舞には人並み以上の羞恥心がある。こうして中葉とくっついている姿を人に見せているのはとても苦痛だった。
それでも愛し合っているのだから、たとえ人前でも中葉の望むことをしたい。そう思っているので、自分の心を押さえて中葉に合わせていた。
トリップしている間は周囲を気にすることなく中葉とイチャイチャしているのだが…
今はトリップ中では無いから、とても恥ずかしい。
響歌と橋本はそんな舞を知っているので、今は中葉に対してだけ呆れていた。
いきなり家に押しかけられ、こうしてイチャイチャされては、橋本もたまったものではない。
こんな姿を、オレはこいつらが帰るまで見なければならないのか!
自分の家のはずなのに、橋本は一刻も早くここから去りたかった。
「おい、オレは自分の部屋に行くからな」
そう言って去ろうとしたその背中に響歌が声をかける。
「私、橋本君の部屋見てみたいな。一緒に行ってもいい?」
響歌は既に立ち上がっていた。訊きはしたものの、行く気満々だった。
「ねぇ、ムッチーに、中葉君も。見てみたいでしょ?」
このままだと橋本君はずっと自分の部屋に籠ってしまう。こんな場所に私だけ置いていくなんて許さないんだから。別の部屋に避難しようという気なら、みんなで着いて行くわよ!
橋本は響歌の考えを悟ってげんなりしたが、何も言わなかった。
これで、4人で橋本の部屋に行くことが決定したはずだった。
その時、中葉が寝転がったまま断った。
「いや、オレ達はいいよ。ここでのんびりさせてもらうから、響ちゃんだけ行ってきなよ」
響歌と橋本はもちろんのこと、舞も驚いた。
「中葉君はそれでいいの。橋本君の家に行くって言い出したのは中葉君でしょ。てっきり橋本君の部屋にも入りたいと思っていたのに」
「いいんだよ。オレはただのんびりしたかっただけだから。でも、ムッチーが行きたいのなら、オレもそうするけど」
舞は少し考えた。
本音を言うと、自分も橋本の部屋に行ってみたい。
でも、それだと2人の邪魔になるのではないだろうか。
なんといっても橋本は、響歌がこれから黒崎に代わって好きになるかもしれない男ナンバーワンなのだ。
だったら今のうちに仲を深めてもらった方がいいわよね。
これをきっかけに、あの2人も一気に燃え上がるかもしれない。それだとダブルデートへの道のりも早くなる。
それに何よりも、中葉君と2人きりになれるじゃない!
もしかして中葉君もそう考えているんじゃ…いえ、きっとそうなのよ。だって人一倍好奇心旺盛な彼が、こんなにあっさり断るわけがないもの。
さすが中葉君だわ。
「私は中葉君とここにいる。もちろん響ちゃんは橋本君の部屋に行ってきて。せっかく橋本君が誘ってくれているんだもの。断っちゃ、ダメよ」
いつの間にか舞の中では橋本が響歌を誘ったことになっている。
「いや、オレは誘ったわけじゃ…」
橋本は反論したものの、その声は弱々しい。
響歌はこんな返事が返ってくるとは思わなかったので焦ったし、行くのを止めようともした。
だが、バカップルのラブラブパワーには勝てず、2人は橋本の部屋へと追いやられたのだった。
「橋本の家って、結構落ち着くところなんだなぁ」
中葉が舞に膝枕をしてもらいながらそんな感想を口にした。
中葉は平然としているが、舞はとても恥ずかしそうだ。
それもそのはずだ。この場には舞と中葉の2人だけがいるのではなく、響歌と橋本もいる。しかもその2人の視線をモロに感じているのだ。
舞には人並み以上の羞恥心がある。こうして中葉とくっついている姿を人に見せているのはとても苦痛だった。
それでも愛し合っているのだから、たとえ人前でも中葉の望むことをしたい。そう思っているので、自分の心を押さえて中葉に合わせていた。
トリップしている間は周囲を気にすることなく中葉とイチャイチャしているのだが…
今はトリップ中では無いから、とても恥ずかしい。
響歌と橋本はそんな舞を知っているので、今は中葉に対してだけ呆れていた。
いきなり家に押しかけられ、こうしてイチャイチャされては、橋本もたまったものではない。
こんな姿を、オレはこいつらが帰るまで見なければならないのか!
自分の家のはずなのに、橋本は一刻も早くここから去りたかった。
「おい、オレは自分の部屋に行くからな」
そう言って去ろうとしたその背中に響歌が声をかける。
「私、橋本君の部屋見てみたいな。一緒に行ってもいい?」
響歌は既に立ち上がっていた。訊きはしたものの、行く気満々だった。
「ねぇ、ムッチーに、中葉君も。見てみたいでしょ?」
このままだと橋本君はずっと自分の部屋に籠ってしまう。こんな場所に私だけ置いていくなんて許さないんだから。別の部屋に避難しようという気なら、みんなで着いて行くわよ!
橋本は響歌の考えを悟ってげんなりしたが、何も言わなかった。
これで、4人で橋本の部屋に行くことが決定したはずだった。
その時、中葉が寝転がったまま断った。
「いや、オレ達はいいよ。ここでのんびりさせてもらうから、響ちゃんだけ行ってきなよ」
響歌と橋本はもちろんのこと、舞も驚いた。
「中葉君はそれでいいの。橋本君の家に行くって言い出したのは中葉君でしょ。てっきり橋本君の部屋にも入りたいと思っていたのに」
「いいんだよ。オレはただのんびりしたかっただけだから。でも、ムッチーが行きたいのなら、オレもそうするけど」
舞は少し考えた。
本音を言うと、自分も橋本の部屋に行ってみたい。
でも、それだと2人の邪魔になるのではないだろうか。
なんといっても橋本は、響歌がこれから黒崎に代わって好きになるかもしれない男ナンバーワンなのだ。
だったら今のうちに仲を深めてもらった方がいいわよね。
これをきっかけに、あの2人も一気に燃え上がるかもしれない。それだとダブルデートへの道のりも早くなる。
それに何よりも、中葉君と2人きりになれるじゃない!
もしかして中葉君もそう考えているんじゃ…いえ、きっとそうなのよ。だって人一倍好奇心旺盛な彼が、こんなにあっさり断るわけがないもの。
さすが中葉君だわ。
「私は中葉君とここにいる。もちろん響ちゃんは橋本君の部屋に行ってきて。せっかく橋本君が誘ってくれているんだもの。断っちゃ、ダメよ」
いつの間にか舞の中では橋本が響歌を誘ったことになっている。
「いや、オレは誘ったわけじゃ…」
橋本は反論したものの、その声は弱々しい。
響歌はこんな返事が返ってくるとは思わなかったので焦ったし、行くのを止めようともした。
だが、バカップルのラブラブパワーには勝てず、2人は橋本の部屋へと追いやられたのだった。