少女達の青春群像 ~舞、その愛~
終電間近の駿河駅。その駅のホームには、今は2人しかいない。
舞は中葉と一緒に駿河駅に来てからずっとホームのベンチに座っていた。
だが、あと少しでその時間も終わってしまう。もうすぐ最終電車がこのホームに到着してしまう。中葉との甘い時間もこれで終わりを告げる。
舞は自分を抱いてくれている中葉の腕から身を起こした。そろそろ帰る準備をしなくてはいけない。このままの状態では絶対に帰れないから。
舞は今、半裸状態だ。上半身がすべて裸だったのだ。
その状態で中葉に寄り添っていた。いや、それだけではない。中葉の手はそんな舞の胸を覆っていた。要するに裸の状態で胸を揉まれていたのだ。
中葉の方は制服姿のままだった。乱れてもいない。彼が最後まで行く気が無かったのがそれだけでわかる。
それにしたってここは駅のホームだ。いくら一番端のベンチにいるからといっても、これは大胆過ぎだ。
こんな状態になったのは中葉に迫られたからではない。舞は仲直りの意味を込めて自分から服を脱いだ。それだけでなく中葉に身を寄せて、大胆にも『触ってみる?』と言ったのだ。
舞は完全に中葉に色仕かけをしていた。
幸か不幸か、舞も中葉もこれが色仕かけだとはわかっていなかったのだが…
舞は中葉から離れて制服を身に着けた。
今も自分達以外に人はいない。
良かったぁ、誰にも見られずに済んだわ。
制服も着たし、鞄も持った。これで電車が来ればいつでも帰ることができる。
「もうすぐお別れね」
舞は寂しそうだった。
中葉も淋しそうにベンチから立ち上がる。
2人は見つめ合い、抱き合った。
中葉君…
舞の目が自然と閉じる。それと同時に、中葉の唇が舞のそれと重なった。
別れの接吻だ。
深く、そして長く、お互いの唇を求めた。
舞はゆっくりと目を開け、唇を離す。
「今日は許してくれてありがとう」
「いいんだよ。舞も反省してくれているみたいだし、いつまでも怒らないさ。でも、もう二度としてはいけないよ」
中葉は舞から身体を離した。
「今日は舞の綺麗な半裸姿も見られて大満足な1日だったよ。前みたいに誰にも見られなかったはずだしな」
言葉の通り、中葉は凄く幸せそうだった。
だが、それとは反対に、舞は表情が固まっていた。
今…中葉君、前みたいにって言ったよね?
前みたいにって。それって、いったいどういうこと?
もしかして…これまで誰かに見られたことがあったとか?
固まっている舞の額から冷や汗が流れた。
「ね、ねぇ、中葉君。『前みたいに』って言ったけど、どういうこと。まさかこういうのを誰かに見られたことが…あの…その…」
怖くて最後まで言うことができない。
だが、中葉は舞の言いたいことがわかったようだ。
「ほら、前もここで舞と別れの接吻をしたことがあっただろ。それをどうやらバスケ部の人達に電車の中から見られていたみたいなんだ。翌日、高尾がニヤニヤしながら『見たぞ、見たぞ、ヘヘヘヘヘ』と言ってきてさぁ。あれには参ったよ。4組に行ったら、木原にも同じようなことを言われたしなぁ」
参ったとは言っているが、表情にはそれが欠片も感じられなかった。
参りたいのは舞の方だった。
まさかそんなところをバスケ部の人達に見られていたなんて!
そういえばこの前、別れの接吻をしたすぐ後、電車がホームに入ってきたことがあったような…
あぁ、なんていうこと。ホームに人がいなかったから安心していたのに、まさかその電車から見られていたなんて。しかもバスケ部員に!
バスケ部といえば、2年の経済科にも所属している者が2名いる。さっき中葉の口から出た高尾と木原だ。
なんでよりによって高尾君達がいるバスケ部なのよ!
「見られたことはもう仕方がないだろ。終わったことをくよくよと考えるのは止めよう」
中葉はそう言うが、舞は逆に平然としていられる中葉が信じられない。
中葉君って、羞恥心が無いの?
よりにもよって接吻の場面を大勢の人達に見られてしまったのよ。しかもその中にはクラスメイトもいる。男の人だって、普通ならこういうことは見られたくないものでしょ。 それを平然として『仕方がない』で済ますなんて…
「私には中葉君みたいに羞恥心を捨てることなんてできないわ」
舞はぼそっと呟いた。
「舞…」
中葉が舞に何かを言おうとした時、大きな音とともに明るい光が2人を照らした。最終電車がホームに入ってきた。
電車は舞と中葉の目の前で鈍い音を立てながら止まる。
「取り敢えず、今日は帰るね」
舞は力無く言うと電車に乗った。乗車するのは舞だけだったからなのか、舞が乗ったらすぐに扉が閉まった。
舞は電車の中から中葉を見た。中葉は心配そうに舞を見ている。
電車がゆっくりと動き出した。
舞は中葉の姿が見えなくなるまでずっと中葉を見ていた。
舞は中葉と一緒に駿河駅に来てからずっとホームのベンチに座っていた。
だが、あと少しでその時間も終わってしまう。もうすぐ最終電車がこのホームに到着してしまう。中葉との甘い時間もこれで終わりを告げる。
舞は自分を抱いてくれている中葉の腕から身を起こした。そろそろ帰る準備をしなくてはいけない。このままの状態では絶対に帰れないから。
舞は今、半裸状態だ。上半身がすべて裸だったのだ。
その状態で中葉に寄り添っていた。いや、それだけではない。中葉の手はそんな舞の胸を覆っていた。要するに裸の状態で胸を揉まれていたのだ。
中葉の方は制服姿のままだった。乱れてもいない。彼が最後まで行く気が無かったのがそれだけでわかる。
それにしたってここは駅のホームだ。いくら一番端のベンチにいるからといっても、これは大胆過ぎだ。
こんな状態になったのは中葉に迫られたからではない。舞は仲直りの意味を込めて自分から服を脱いだ。それだけでなく中葉に身を寄せて、大胆にも『触ってみる?』と言ったのだ。
舞は完全に中葉に色仕かけをしていた。
幸か不幸か、舞も中葉もこれが色仕かけだとはわかっていなかったのだが…
舞は中葉から離れて制服を身に着けた。
今も自分達以外に人はいない。
良かったぁ、誰にも見られずに済んだわ。
制服も着たし、鞄も持った。これで電車が来ればいつでも帰ることができる。
「もうすぐお別れね」
舞は寂しそうだった。
中葉も淋しそうにベンチから立ち上がる。
2人は見つめ合い、抱き合った。
中葉君…
舞の目が自然と閉じる。それと同時に、中葉の唇が舞のそれと重なった。
別れの接吻だ。
深く、そして長く、お互いの唇を求めた。
舞はゆっくりと目を開け、唇を離す。
「今日は許してくれてありがとう」
「いいんだよ。舞も反省してくれているみたいだし、いつまでも怒らないさ。でも、もう二度としてはいけないよ」
中葉は舞から身体を離した。
「今日は舞の綺麗な半裸姿も見られて大満足な1日だったよ。前みたいに誰にも見られなかったはずだしな」
言葉の通り、中葉は凄く幸せそうだった。
だが、それとは反対に、舞は表情が固まっていた。
今…中葉君、前みたいにって言ったよね?
前みたいにって。それって、いったいどういうこと?
もしかして…これまで誰かに見られたことがあったとか?
固まっている舞の額から冷や汗が流れた。
「ね、ねぇ、中葉君。『前みたいに』って言ったけど、どういうこと。まさかこういうのを誰かに見られたことが…あの…その…」
怖くて最後まで言うことができない。
だが、中葉は舞の言いたいことがわかったようだ。
「ほら、前もここで舞と別れの接吻をしたことがあっただろ。それをどうやらバスケ部の人達に電車の中から見られていたみたいなんだ。翌日、高尾がニヤニヤしながら『見たぞ、見たぞ、ヘヘヘヘヘ』と言ってきてさぁ。あれには参ったよ。4組に行ったら、木原にも同じようなことを言われたしなぁ」
参ったとは言っているが、表情にはそれが欠片も感じられなかった。
参りたいのは舞の方だった。
まさかそんなところをバスケ部の人達に見られていたなんて!
そういえばこの前、別れの接吻をしたすぐ後、電車がホームに入ってきたことがあったような…
あぁ、なんていうこと。ホームに人がいなかったから安心していたのに、まさかその電車から見られていたなんて。しかもバスケ部員に!
バスケ部といえば、2年の経済科にも所属している者が2名いる。さっき中葉の口から出た高尾と木原だ。
なんでよりによって高尾君達がいるバスケ部なのよ!
「見られたことはもう仕方がないだろ。終わったことをくよくよと考えるのは止めよう」
中葉はそう言うが、舞は逆に平然としていられる中葉が信じられない。
中葉君って、羞恥心が無いの?
よりにもよって接吻の場面を大勢の人達に見られてしまったのよ。しかもその中にはクラスメイトもいる。男の人だって、普通ならこういうことは見られたくないものでしょ。 それを平然として『仕方がない』で済ますなんて…
「私には中葉君みたいに羞恥心を捨てることなんてできないわ」
舞はぼそっと呟いた。
「舞…」
中葉が舞に何かを言おうとした時、大きな音とともに明るい光が2人を照らした。最終電車がホームに入ってきた。
電車は舞と中葉の目の前で鈍い音を立てながら止まる。
「取り敢えず、今日は帰るね」
舞は力無く言うと電車に乗った。乗車するのは舞だけだったからなのか、舞が乗ったらすぐに扉が閉まった。
舞は電車の中から中葉を見た。中葉は心配そうに舞を見ている。
電車がゆっくりと動き出した。
舞は中葉の姿が見えなくなるまでずっと中葉を見ていた。