献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
こちらからは清澄くんの背中しか見えず、どんな顔をしているのかわからない。
ただ握りしめていた彼の手は震えており、私が小声で「清澄くん……」とつぶやいてもこちらを見ない。
しばらくしてやっと「おい」と口を開いた彼は、今まで聞いたことのない低い声で彼女たちにつぶやく。
「〝こんな子〟ってなんだ?」
その瞬間、お姉さんたちの顔は強張る。
「だ、だって……清澄が付き合う子はいつもろくでもないじゃない。漫画のヒロインみたいにいいこぶってて、裏では酷い性格の女ばっかり」
「そうだよぉ。清ちゃん選び方おかしいから心配なんだもん。……怒らないでよぉ」
彼女たちは顔を見合せ、萎縮した様子で弁解する。
さっきまでと形勢が逆転しているところを見ると、今の清澄くんは相当怖い顔をしているのだろう。