献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
しかし私には、お姉さんたちの言っていることは嘘ではないんじゃないかと思えた。
不安げなその顔は、本当に清澄くんを心配しているものに見えたのだ。
「清澄くん……」
「俺の姉たちが嫌な思いさせてごめんな、愛莉」
振り返ってやっと私を見てくれた清澄くんは、優しく頭を撫でる。
肩を抱きながら、バスルームの扉を塞いでいるお姉さんたちを素通りし、私を柔らかいソファに座らせてくれた。
今しかないと思い、私はそそくさとパンツを履く。
ワインを飲んでいたときと同じように隣に座り、彼は前を向いたまま、背後にいるお姉さんたちに言い捨てる。
「帰れ。二度と来るな」
お姉さんたちは立ち尽くしたまま、返事をしなかった。
険悪な空気が流れている。
ここに来るまでは、振り回されてはいたけどお姉さんと和気あいあいとしていたのに、急に壊れてしまった。
私のせいなのかな。
背中に、お姉さんたちの言葉に詰まった姿を感じていた。