献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~

家族は仲良しな方がいい。
それが、いつ、ある日突然に、壊れてしまうかわからないのだから。

昨日まで笑い合えていたのに、小さなきっかけからまともに話せなくなったりすることだってある。
崩れてしまった関係は簡単には取り戻せない。
それがどんなに寂しくて、後悔することなのか、清澄くんは知っているのかな。

ここでお姉さんたちを追い出して、本当にいいのかな。

「清澄くん」

「ん?」

「お姉さんたち、久しぶりなら泊まってもらった方がいいんじゃないかな。私とはまたいつでも会えるんだから」

「えっ、ちょっと待って」

ハンドバッグを肩にかけてソファから立ち上がると、清澄くんは慌てて手を握って引き留めようとするが、私はその手を一度握り返してから離した。

「清澄くんは家族にも、会社の人にも、みんなに好かれててすごいよ」

私もそうなりたかったけど、できなかった。

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