献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
「愛莉?」
「私が弱いから清澄くんが代わりに言い返してくれることが多かったよね。でも私なんかより、清澄くんの好きな人たちを大切にした方がいいと思う」
「……愛莉も大切だよ。麗奈と凜花はいつもこんな感じだし、姉弟なんだからいつでも会える。でも愛莉のことは、今帰したくない」
「私は今帰っても、なにも変わらないから大丈夫だよ」
今さら清澄くんになにをされても嫌いになんてなれないし、好きな気持ちは変わらない。
ひとりぼっちの家に着いてちょっぴり寂しい気分になるだけだ。
清澄くんに会えるのを楽しみにしていたお姉さんたちがそんな思いをするのなら、帰るのは私でいい。
「私はこれで失礼します。今日はいなかったことにしてください」
三人へ精一杯の笑顔を浮かべ、軽く会釈をして玄関へ足を進めると、麗奈さんと凜花さんが私の前へと進み出た。
「あーもう! なんなの! そんなこと言われたら私たちが帰るしかないじゃない。やりにくいわねっ」
「演技? 演技なの……!?」
「え……?」
ふたりは顔を見合せた後、私をじっと覗き込んでくる。