献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~

「……あのさ。姉たちが言ってたことだけど……」

どうしようかと思っていたことを、清澄くんが切り出した。

言ってたこととは、やはり〝童貞〟のことだろうか。
私はゴクリと喉を鳴らす。

「引いた?」

彼は伏し目がちな視線を向ける。
切ない表情に胸がチクンと傷み、じんと涙腺に響いた。

姉たちの言っていたことは嘘なんだ、と弁解をされるのではないかと思っていた。
半信半疑だったが、本心ではほとんど疑に傾いていたところだったのだ。
それを事実だと彼が認めたことで、言い様のない感情が湧いてくる。

初めて本当の清澄くんに触れたような。

私は首を横に振った。

「まさか! ……でも、びっくりはしたかな。だって、清澄くんならそういうチャンスはたくさんあったはずだと思うから、どうしてなんだろうって」

考えば考えるほどおかしい。

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