献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
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ところが、到着した洋風ダイニングの前で待っていたふたりは、今朝と姿が違っていた。
髪型や化粧を艶やかに直していたり、肩がシースルーになっているトップスに着替えていたりと、普段より輪をかけて綺麗に見える。
私の姿を見つけた西野さんは、仕事中は禁止の揺れるタイプのピアスを揺らし、クスリと笑う。
「お疲れ様です、日野さん。入りましょうか。みんな中で待ってるみたいですよ」
「え? 〝みんな〟って……?」
「今日はメガバンクの男性陣も一緒なんですよ。あれ? 言いませんでしたっけ?」
ふたりは目配せをし合って笑っており、そこでやっと〝やられた〟と気づいた。
ここで男性陣が待っている、それはおそらく合コンだ。
合コンだと聞かされていたら、お世話になっている人たちとならともかく、このメンバーではさすがに私も断っていた。
だって……居づらいに決まってるもの。