献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~

◆◆◆

ところが、到着した洋風ダイニングの前で待っていたふたりは、今朝と姿が違っていた。

髪型や化粧を艶やかに直していたり、肩がシースルーになっているトップスに着替えていたりと、普段より輪をかけて綺麗に見える。

私の姿を見つけた西野さんは、仕事中は禁止の揺れるタイプのピアスを揺らし、クスリと笑う。

「お疲れ様です、日野さん。入りましょうか。みんな中で待ってるみたいですよ」

「え? 〝みんな〟って……?」

「今日はメガバンクの男性陣も一緒なんですよ。あれ? 言いませんでしたっけ?」

ふたりは目配せをし合って笑っており、そこでやっと〝やられた〟と気づいた。
ここで男性陣が待っている、それはおそらく合コンだ。
合コンだと聞かされていたら、お世話になっている人たちとならともかく、このメンバーではさすがに私も断っていた。
だって……居づらいに決まってるもの。
< 12 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop