献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
「愛莉。俺と付き合ってくれる?」
「……え」
フラれる覚悟をしてうつむいていたのに、思わず顔を上げた。
対峙した清澄くんは真剣な面持ちで、まっすぐ私を見つめている。
どうやら私たちは付き合ってはいなかったらしい。
でも異動するのに、これから付き合おうとするの?
どういうこと……?
「取引先の担当が彼女だと知られたら、銀行は癒着を防ぐために俺をヨツバから外してた。愛莉が攻められるのも嫌だし、今まで恋人になれなかったけど。俺はもう、ヨツバの担当じゃなくなるから」
「……そう、だったんだ」
「嫌?」
「……そんなわけないっ……」
安堵しすぎて、涙が溢れてきた。
ずっと悩んでいた。
この関係はなんなのかわからなったけど、清澄くんは私のためを思って彼氏になれなかったんだ。
「愛莉……泣かないで」
「私、清澄くんの彼女になりたい。アメリカに行っちゃっても、ずっと待ってる。毎日連絡する。遠距離恋愛でも、私、ずっと清澄くんを想ってるよ」