献身遊戯~エリートな彼とTLちっくな恋人ごっこ~
清澄くんが好き。
きっともうこの気持ちは、離れても変わらないから。
彼を信じて待っていよう。
「……愛莉」
「清澄くん。ニューヨークへ行ってもがんばってね。私、応援してる」
「いやニューヨーク出張は一週間で終わるけど」
うんうん、一週間でもずっと待ってる。
……ん?
一週間?
「へ……?」
「国際市場部に異動になるから、ニューヨーク駐在所での研修が一週間ある。それが終わったらまた東京に戻るよ。マンションも変わらないし」
前菜が下げられ、メインが運ばれて来る。
その間、私たちは見つめあったまま沈黙していた。
お皿がサーロインステーキに変わり店員が戻ると、清澄くんはフフッと吹き出す。
「え、愛莉。俺が海外転勤になると思ってたのか?」
「え、え、だって」
「さすがにそんな大事なことを黙ってるわけないだろ。支店から本部に異動になるだけで、今となにも変わらないよ。あ、支店長代理に昇格するけどな」
彼はいたずらな笑顔を向ける。